群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

入浴の心血管疾患予防効果

 大阪公衆衛生研究所が日本人約3万人を追跡調査しています(2020)。

 

 対象は、心血管疾患またはがんの既往のない40〜50歳代の3万人で、20年弱、追跡調査しました。浴槽に浸かる頻度で、0〜2回/週、3〜4回/週、ほぼ毎日の3つに分類しました。

 

 冠動脈疾患328例と脳卒中1,769例の心血管疾患を記録。

 

 ほぼ毎日入浴の0〜2回/週に対する多変量HR(95%CI)は、心血管疾患では0.72(0.62〜0.84、傾向のp<0.001)、冠動脈疾患では0.65(0.45~0.94、傾向のp=0.065)、脳卒中全体では0.74(0.62〜0.87、傾向のp=0.005)、脳梗塞では0.77(0.62~0.97、傾向のp=0.467)、脳内出血では0.54(0.40〜0.73、傾向のp<0.001)でした。

 

            


 難しい言葉が並びましたが、ここまでで、読むのを挫折してしまった人は残念でした。ここからはもう少しわかりやすくいきます。

 

 週5回以上浴槽に浸かる人は週2回以下の人に比べ、脳卒中になることを26%抑えられたということがわかりました。

 ここで大事なのは、シャワー浴などのお湯に浸からない入浴はカウントせず、あくまでも浴槽に浸かった頻度をみています。

 

 多分、この週0~2回の頻度の方でも、清潔行為としてのシャワー浴や洗体、洗髪などは、ほぼ毎日している事でしょう。しかしここで注目すべきなのは、浴槽に浸かる頻度です。全身を外部の熱で温めるという、日本古来の入浴作法は、実は心血管疾患を予防するということがわかってきました。

 

ヒートショック


 ヒートショックで体調を崩したり、亡くなってしまったりする方もいらっしゃいますので、これに注目してしまうと、「浴槽には入らない方が安全だ」と思ってしまいます。でも実は浴槽に浸かることに心血管疾患を予防する効果があります。今回は触れていませんが、ヒートショックを予防する方法もあります。ヒートショックを防ぎつつ、ほぼ毎日浴槽に浸かる。これによって心血管疾患を予防して、健康的な生活を送ってみませんか。

heart.bmj.com

                            記事担当:部長さかもと