群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

糖尿病患者の浴槽入浴

 湯に漬かる入浴(浴槽入浴)の頻度が高い糖尿病患者は、血糖コントロールの指標であるHbA1c(血糖値の履歴)が良好であるというデータが報告されました。(国立国際医療研究センターによる)

 

 サウナや浴槽入浴の頻度が、心血管疾患発生率と逆相関することは報告されていますが、今回は外来糖尿病患者を対象とする横断研究です。

 

 糖尿病患者1,297人を解析し、対象者は平均年齢66.9歳、男性55%、BMI25.9±5.3、HbA1c7.17±1.14%でした。

 

 浴槽入浴の頻度は週に平均4.2回で、入浴時間は16分でした。浴槽入浴の頻度はHbA1cBMI拡張期血圧に有意な負の相関を認めました。

 

 浴槽入浴の頻度に基づき、全体を3群(週に4回以上、1~3回、1回未満)に分類して比較検討した結果も同じく、浴槽入浴の頻度の高い群は、高齢で、HbA1cBMI拡張期血圧が低いという関係がありました。

 

 入浴頻度の高い患者は身体活動量が多い可能性がありますが、その上、この研究結果は習慣的な浴槽入浴が、肥満、拡張期血圧および血糖コントロールを、わずかながら改善する可能性があるとしています。

 従って、浴槽に漬かるという温熱療法は、2型糖尿病患者の心血管疾患を抑える可能性があると考えられます。

 また、文献を基に、浴槽入浴による効果発現のメカニズムは、体温上昇と血管拡張による血流や血管内皮機能の改善、一酸化窒素産生の増加、インスリン感受性の亢進などが考えられるとしています。

 

 

 浴槽に浸かる習慣は、血管内皮や血流改善、インスリン感受性などに僅かですが良い方向に影響を与えます。

 

 糖尿病の方だけでなく、特に疾患を持たない方でも健康増進のため、浴槽に浸かる頻度の高い習慣は良い効果を生みます。

 

 温泉や風呂の力を活用しましょう。

 

                                記事:さかもと