群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

パルスオキシメータ

                                  

 リハビリをしていく上で、患者さんの容態把握に欠かせない物の1つにパルスオキシメータがあります。STでは、摂食・嚥下面のリハビリ時に誤嚥の判断の為に使用されています。最近では、新型コロナウイルス感染症の重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定できることから注目を浴び、一時は品薄な状態もあった商品です。

 パルスオキシメータとは、動脈血中の酸素飽和度(ヘモグロビンがどの程度酸素と結びついているか)を、採血なしで連続的に測定する装置です。

 ヘモグロビンは酸素と結びつくと鮮やかな赤色、結びついていないと暗い赤色になります。色によって光の吸収しやすさが異なることを利用して、動脈血酸素飽和度を算出します。指にセンサを装着し、波長の異なる2種類の光を当て、吸収されずに指を通り抜けた光を測定して分析します。
 血液中に十分な酸素がないと命に関わります。採血では、刻々と変化する患者さんの容態をリアルタイムに正確に知ることはできません。しかしパルスオキシメータを使えば、体に酸素がどの程度足りているかを患者さんを傷つけることなく、かつリアルタイムに把握することが可能です。

 

 実はこのパルスオキシメータの原理を発明したのは、日本人技術者の青柳卓雄さんです。

 

 この原理は1974年に学会で発表されましたが、おもしろい研究という意見と否定的な意見もあり、この発表は注目されなかったそうです。翌年の1975年には製品化されましたが、性能や使い勝手の面で改良の余地が多く、需要が伸びなく、開発は中断。

 その後、米国で手術の麻酔中の患者さんが酸素不足などで命を落とす医療事故に対する訴訟が増加し、パルスオキシメータの有用性が注目されるようになり、新しい技術を取り入れた小型の装置が競って発売されるようになり、パルスオキシメータは急速に普及しました。

 

 パルスオキシメータを発明した青柳卓雄さんは、医療の質向上に多大な貢献をした業績が認められ、2002年に紫綬褒章を受章。2015年には米国電気電子学会が医療分野の技術革新に送る賞「IEEE Medal for Innovations in Healthcare Technology」を日本人として初めて受賞。また2020年には第4回日本医療研究開発大賞/内閣総理大臣賞を受賞されました。

 

 医療現場では多くの患者さんの命を救い、コロナ渦では体調確認に使用され、最近ではスマートウォッチにも装備されているパルスオキシメータが、50年も前に日本人が発明していたことに驚くと同時に誇りを感じています。

 

                              記事担当:ST日野