群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

人が人に触れるということ

 新年、あけましておめでとうございます。今年も変わらず宜しくお願い致します。

 

 作業療法士の関仁紀です。

 当院のリハビリ室にはHALやReogo-Jなど先端機器が多々あります。

 それらを駆使し、様々な角度からリハビリを提供しています。

 ですが、今一度原点に立ち返り、タイトルの通り人に触れる事について考えていこうと思います。

 

 我々リハ職員は必ずといって良いほど患者さんに触れます。患者さんに触れて治療していく。この作業は繊細で感覚的なものです。そこでのやりとりは良好な関係を築く事もあれば、一瞬で嫌悪感を抱かれてしまうこともあります。

 

 アメリカの心理学者のハーローの実験によると生後間もないサルの赤ちゃんを母親から離し、柔らかい布製の代理母とミルクを飲むことが可能な唯乳瓶を備えた針金製の代理母を設置した艦の中で飼育した。結果はサルの赤ちゃんは布製の代理母にしがみついている時間の方が多いことが観察された。サルの赤ちゃんが、栄養だけを与えてくれる冷たいものよりも、栄養を与えてくれなくても温かみのある柔らかいものの方を好むことを示した実験と評価されています。

 このことは愛着の形成には、生存に必要なミルクという報酬よりも、柔らかい布などに触れる快い感触の重要性、つまりスキンシップの重要性を示唆した。

と言われています。

(※サルの赤ちゃんと布製代理母

  

参考サイト:世界一わかりやすい心理学

https://a-m-zyozo.hatenablog.com/entry/2020/05/31/203930

 

 そこで、私達が患者さんに触れていく大切さを考えたいと思います。

 医療従事者の基本的手法である「手当て」の接触。ここには「大変でしたね」「一緒に頑張りましょう」「良くなりましょう」といった気持ちが同時に込められてきます。

 ハーローの実験から、わかる様に、「心地よい刺激」は、人の心と身体を癒し、回復力を推し進めてくれます。心地よい刺激は、人それぞれですが、子育てでも確認されている様に母子が触れ合うことは、母親のオキシトシン分泌を促し、なでる・さする・軽くたたくなどは、子供の穏やかな成長と心の安定を促すと言われており、治療の中で、大いにとり入れたい刺激ではないかと考えます。

 

 私たちセラピストが患者さんの変化を導き出すためには、日々のトレーニングが必要です。治療効果の出やすい身体領域を知り、そこに的確に踏み込んでいかなければ、変化を引き出すことは出来ません。また、この手技はリハ職員の独断などでなく、患者さんとリハ職員の共同作業の上になりたっているものだと考えています。

 確実に変化を出すハンドリングを身に着けていく事は、とっても難しいと自覚しております。しかし、決して諦めず我々が患者さんにとって「最高の治療道具」になれるように努力していきたいと思います。