こんにちは。
12月に入りだいぶ寒くなりましたね。
当院の入院患者さんは整形疾患、脳血管疾患、廃用症候群の方がほとんどを占めています。しかし、その背景に心不全や腎不全等の既往をお持ちの方が多い印象です。
ですので、今回は心臓と腎臓の関係についてお話します。
心臓と腎臓のいずれか一方にトラブルが起こると、他方にも影響してトラブルが起こることがあります。具体的に言うと、急に心臓の働きが落ちた場合、その影響で腎臓の働きも低下することがあるし、逆に、急に腎臓の機能が低下した場合、二次的に心臓の働きも弱くなるといった場合です。
心臓の働きが弱まり、体に十分な血液が行き渡らなくなる心不全の患者さんに腎機能の低下も併せて起こると、生命への危機に陥るリスクが高まることが知られています。
また、慢性腎臓病の患者さんは脳卒中や心臓病を起こすリスクが高まることもわかっています。
さらに、糖尿病、血管炎、敗血症など全身に影響する病気にかかると、心臓と腎臓の機能が同時に低下することもめずらしくありません。
このように心臓の機能障害⇔腎臓の機能障害(双方向)互いに影響し合って障害を呈することを心腎連関症候群といいます。
では心腎連関症候群に適したリハビリとは。
心臓・肺・腎臓疾患への運動療法は基本的に有酸素運動レベルであれば問題ないと言われています。そのため、それぞれの疾患の検査結果や症状の急激な悪化がなければ互いが上手く連関していると考え運動を進めていくことが大切です。
<運動処方の例>
①最高酸素摂取量(peak VO₂)の40~60%のレベル
②心拍数予備能(HR reserve)の30~50%または
最大HRの50~70%
③自覚運動強度(Borg指数):11~13のレベル
④運動持続時間:1回5~10分×1日2回程度から開始
1日30~60分(1回20~30分×1日2回)まで徐々に増加
新人の頃、主疾患しか見ていなくて思うようにリハビリが進まなかった経験があります。主疾患はもちろん、心疾患または腎疾患に限らず疾患を持つ患者さんでは、その疾患のみではなく、他の疾患にも目を向けることが大切だと実感しました。
一般の方にはちょっと難しい内容でしたが、理学療法士界隈ではこういう分野も流行っています。
記事担当:PT田沼