群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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運動やビーツで血管拡張

 運動していると、一酸化窒素の生成で、血管拡張が起こり、筋肉への血液循環が増えます。

 では、運動後、どうやって血液循環が高いまま、運動後の血圧降下を起こすのでしょうか。

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 硝酸塩は、唾液腺に吸収され、唾液とともに排泄されますが、口腔細菌によって、体内での一酸化窒素の生成を促す重要な分子である「亜硝酸塩」に転換されます。

 亜硝酸塩を含んだ唾液を飲み込むと、素早く血液に吸収され、これによって一酸化窒素を生成し、血管の直径が大きくなって、運動後も血圧の下がった状態が続きます。

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 血管が広がることで酸素を運ぶ血液の量が増え、マラソンなどの有酸素運動のパフォーマンスを向上させるといわれています。

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 口腔細菌を阻害し、硝酸塩から亜硝酸塩への転換を妨げると、運動後低血圧に影響が及ぶのかどうかを検証した実験があります。

 

 ランニングマシンで運動させ、運動直後から30分ごとに4回、口をすすぐように指示。

 口をすすぐ液体は、「医薬用殺菌薬」と「ミントの香りがする水」のいずれかを被験者に与え、血圧を運動前と運動後に測定するとともに、唾液と血液のサンプルを運動前および運動から2時間後に採取します。

 

 結果は、ミントの水で口をすすいだ被験者は運動1時間後に血圧が5.2mmHg低下し、2時間後でも3.8mmHg低下していた。

 一方、殺菌薬でうがいした被験者は、運動1時間後の血圧が2.0mmHgしか下がらず、水で口をすすいだ被験者に比べて運動後低血圧の効果は61%低く、2時間後には運動後低血圧の効果が見られなくなりました。

 殺菌洗口剤で口をすすいだ被験者は、運動後、血液中の亜硝酸塩のレベルも上昇しなかったそうです。

 

 口腔細菌による亜硝酸塩合成が血圧降下や筋酸素化レベルの上昇を促すうえで非常に重要であることが示された。従って、運動前後の口腔内殺菌(マウスウォッシュ)はお勧めしません。実験にもあるように、水分補給は殺菌になりませんので、影響はなさそうです。

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ビーツでも同じ効果が

 

                            記事担当:部長さかもと