群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。通常のリハビリに加え、早朝リハビリを施行。HAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなど、ロボットリハも稼働中。多くのリハスタッフで患者さんを担当させていただいております。

「リハビリの視点から~人工股関節全置換術を予定する方へ~リハビリ病院転院後、リハビリの進行に伴う痛みの出方と経過」

人工股関節全置換術を予定する方へ

リハビリの視点からシリーズ第四弾第五弾

 

手術が痛いのも、術後痛いのも簡単に想像できます。

その先が難しい。

 

痛みはいつまで続くの?

どのくらい痛いの?

リハビリ病院でのリハビリは痛いの?

 

まずですね、どうやら、当院への転院においては、

時に厳しいところだと脅されることがあるらしい。

 

しかもなかなかの脅しっぷり。

 

“しっかりリハビリする”ことと“厳しいリハビリ”とは、厳密には異なるわけですよ。

普通は、“厳しいリハビリ”と聞けば、“辛く、痛い”ことを想像してしまいます。

実際、そういったイメージに不安を感じたまま当院へ転院されてくる方が珍しくないんです。

 

 

まず断言します。

 

厳しさの捉え方は人それぞれですが、少なくとも非人道的で無機質な厳しさしかないリハビリなんてものはいたしておりません。

1人1人の状態と目的に合わせたメニューの選択と、機能の向上に合わせた活動量の増加により、変化、向上を実感できるリハビリ展開となっています。人工股関節置換術を理解し、多くの症例を経験しノウハウを持ち、充実のリハビリを提供できる病院体制と設備が整っていることが、中身の濃い、手厚いリハビリとして、退院してきた患者さんの変化の大きさに、いつしか“群リハは厳しい”というイメージを作り出した物と推察いたします。

 

 

しかし、時に患者さんが困り、悩んでしまう状態があります。

最たる物で、唯一と言っても過言ではない大問題。

それは、積極的なリハビリに伴う、痛みの出現か消えない痛みの持続です。

 

いつまで続くの?

なんで痛いの?

 

なんとかしてよ!セラピストさん!!!!

 

ここで我々の真価が問われます。

痛みと向き合い、治療介入と解決策に患者さんが納得と安心ができるよう動けるのか!

それができなければ不信に陥ってしまいます。

不信は疑心を生むと以前かきました。

この疑心は、広がります。

今後の生活への不安、選んだ病院への不信、そもそも手術したこと自体への疑心。

 

とても笑えない状態。

 

 

 

でも、当院では、笑い声と活気が絶えないんです。

 

なぜでしょう?

 

 

セラピストがしっかりと向き合うからです。

 

どんなことが起こっているのか?

 

 

 

さぁ。饒舌も加速する後半戦

やっと本題です。

 

術後のリハビリが順調に進んでくると、思わぬ箇所に痛みが聞かれます。

術後の傷部分は日毎に改善していくのですが、歩く量や歩き方からくる新たな痛みに悩む方がいます。

およそまとめてみます。

 

股関節周囲で聞かれる痛みの様子と場所

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①股関節の外側から少し後ろ側:中殿筋

この部分は、術後、著しく筋力が低下している代表例の場所。

理由は、手術中に多少の侵襲を受けている、股関節の変形に伴い脚の長さが短くなっていたものが、手術によって1~2cm、場合によっては2cm以上急激に脚を延長することになり、股関節周囲の筋肉は張り詰めた状態にあります。張り詰めた筋肉は収縮時にかかる負担が高まり、痛みに繋がりやすい状態にあります。

 

②股関節の外側から少し前側:大腿筋膜張筋

この部分も非常に短く張り詰めやすい筋肉です。後ろ脚を置いてくる、ちょうど蹴り出しのタイミングで最も延ばされます。歩幅が徐々に伸びてくると、負担がかかり痛みを生じやすい場所です。

 

③膝の外側から上にかけて:腸脛靱帯

お尻の筋肉や②の大腿筋膜張筋などが合わさって張り付く場所です。多くの患者さんで

この部分が非常に強く張り詰めており、痛みを生じることがあります。

 

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④膝のお皿の上下あたり:大腿四頭筋、膝蓋腱

大腿四頭筋という膝のお皿にくっつく長い筋肉です。これも短く張り詰めることが多い筋肉で、その張り詰め感は、膝のお皿周辺で痛みを生じさせる原因となることがあります。

術後筋力が落ちやすい場所でもあり、リハビリの進行に伴い、股関節以外の痛みとして出現しやすい場所です。

 

これら①~④の痛みの好発部位は、術後要因として人工股関節術による侵襲と術前右要因として変形性股関節症の進行に伴い生じた関節の位置関係の変化、筋肉の短縮(短く張り詰めた状態)といった要因が関係します。ここはリハビリ介入が大きな力を持ちます。

筋肉の長さを伸ばせるような介入と、広い範囲で力を発揮できるような筋力強化等を組み合わせ、対応していきます。柔軟性の向上と筋力向上により結果的に痛みが軽減していきます。さらに、急激な痛みの増悪や慢性的な残存が問題となる場合、服薬も取り入れます。医学的に問題がないか医師の判断のもと、運動方法、強度を調整し、決してリハビリが停滞することなく進めていく中で、やはり軽快していくことがほとんどです。

 

①~④以外にもアキレス腱や足首周辺、足の裏など股関節から遠い箇所でも痛みが生じることがあります。術後痛みなく歩けることが急激な負担を生むことになり、各所に痛みを生じさせます。

これらの痛みが術後早期の痛みと異なり、リハビリの内容や負荷量により起きてくる、いわゆる筋肉痛も含め様々な形で現れてくる痛みです。

痛みと聞けば不安に思うかも知れませんが、歩く速度や生活などが良い方向に向かっている実感がある時期であるので、痛みがあっても決して強い不安に陥る必要はありません。

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担当セラピストへの信頼もできてくれば尚更、不安を軽減できるでしょう。

 

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リハビリが進むと生じる痛みについて超大作でお送り致しました。

 

次回からは術後の筋力の様子ついてお送り致します。

 

 

                            記事担当:山﨑