群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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地域移動支援と調査結果から考えること

 今回はリハ部のプロジェクト活動「運転と地域移動支援」&「退院後アンケート」の取り組みの一部である追跡調査についてご紹介いたします。

 

■アンケートの概要

【対      象】 2022.6月~2023.8月の期間に当院を退院され、入院中に運転再開支援に関わった全ての疾患の患者さん

【送 付 時 期】 退院から3ヶ月後

【送   付  者】 95例

【回   収  率】 45%  (43例から返信あり)

【対象者 属性】平均年齢58歳、男性32例、女性5例、不明6例

【疾 患 内 訳】CVA 32例、脊損4例、腿・股・膝等骨折1例、不明6例

【背       景】今回報告する内容は、2022年春頃からアンケートの設問を一新したものになります。調査の目的としては、運転非再開群の外出目的と代替手段を明らかにすることが主な内容です。

問1.運転は再開できたか? (43例を対象)

【解釈】

43例中25例が運転を再開し、18例は再開していませんでした。

 

問2.車の利用の仕方や道・範囲を限定しているか?(再開した25例を対象)

【解釈】

運転を再開した25例中、何かしらの制限を設けている方は10例(回答数13)でした。具体的な内容としては、運転頻度を減らす・家族に同乗してもらう、昼間のみ運転する等の利用を制限している、あるいは市内・町内・自宅周辺のみなど走行範囲を制限しているなどの条件でした。また、利用や運転範囲のどちらも制限していない方は15例でした。

 

3.運転を再開していない18例に対して以下の設問をお聞きしました

①外出時の代替手段は?

【解釈】

外出時の代替手段については、家族や知人の送迎が18例で全症例が利用しており、病院や施設の送迎バスの利用が3例、公共交通機関の利用が2例、乗合バス・乗合タクシーの利用が1例、介護タクシーの利用が0例でした。この結果から運転が再開できていない症例の主な代替手段は家族の車に乗せてもらうことであり、車社会である本県という事情もあり公共交通機関の利用は1割にとどまり、乗合バスなどのサービスの利用はそれ以下でした。

 

外出の目的は?

【解釈】

外出の目的については、通院・通所が17例で最も多く、次いで買い物が13例、レジャー・楽しみが6例、仕事が1例でした。

 

③地域の外出支援サービスを知っているか?   

 

外出支援サービスを利用したことはあるか?

【解釈】

外出支援サービスの認知度については、知っているが6例、知らないが12例でした。また、それらのサービスの利用については、利用したことがない17例、利用したことがある1例でした。

 

【まとめ】

 今回の調査では、「買い物」は外出の目的で2番目に多く7割の方が目的としている活動でした。ここに、地域の買い物支援サービスなどをもっと活かせないものかと感じます。しかし、現状では外出支援サービスに関する調査では、7割近くの方がそもそも外出支援サービスについての情報を得られておらず、利用まで至った方は1割にも満たない僅か1例という結果でした。つまり、その方の外出目的にあった地域サービスについて知っている方が少なく、的確な地域サービスを活かしきれていない現状があることが今回の結果から分かりました。今後の目標としては、これらの結果をもとに対象者の地域サービスも含めた外出支援の取り組みにつなげることが1番のねらいです。また、HDS-Rや歩行自立度などを紐づけられていないので、調べて直して考察を深めていきたいです。

 来年度に向けた取り組みとして、サービスについて知らない方が大半なので、まずは外出目的にあった、地域移動支援に関するサービスについて、ご本人やご家族、ケアマネジャーさんに情報提供をすることで、地域にあるサービスを知ってもらうことから始めていけたらと思います。

 

                              記事担当:OTおがわ