私が担当している患者さんが、一生懸命お話しをしてくださるのですが、吃音の症状で、話したいことが伝わりにくい事があります。こんなときは、リハスタッフも話の内容や気持ちを汲み取るに時間がかかることもあります。
そんな時、一緒に担当をしている言語聴覚士さん(以下ST)が“こんなのを作ってみたのですがぜひ使ってください”といい
これを渡してくれました。
名前はペーシングボードといいます。
恥ずかしながら私は見たことも聞いたこともなかったので、使い方が分かりませんでした。
STに教えてもらい調べてみるとペーシングボードは、話す速さを遅くさせることで、ことばをはっきりとさせる道具です。
使用方法は
お話をする時に、1拍や文節などの単位ごとにひとつのスロット(仕切られたひとつの色)を指で順に触ってポインティングしながら発話します。そうして発話速度を強制的に低下させ、発話明瞭度を高めることができるそうです。
たとえば、「リンゴ」とお話しする場合、「リ・ン・ゴ」とひとつひとつの音を出すたびに、左から順に指をさしながら声を出します。その際、ポン・ポンとはっきりと指をさしてください。このようにしてお話すると、ひとつひとつの音がとぎれとぎれになり、不自然な話し方になりますが、発音がはっきりしてきます。
この道具を使用して患者さんとお話ししてみると・・・衝撃をうけました。
なかなか聞き取るのが難しかったのが、はっきりと聞こえるようになり色々な話ができるようになりました。今まで上手く話しができなかった事でなかなか聞けないことが多かったですが、どんどん会話の場面が増えコミュニケーションを行う機会が増えていきました。
また、看護師さんなども使用してもらうことで院内生活での事などの話しなどがスムーズに行えるようになり、看護師も患者もフラストレーションなく行える様になりました。
まさに“言葉が出にくい人にとってのひみつ道具”のような存在だなと思いました。
STは知っている人が多いですが、PT、OTは知らない方も多いのではと思い紹介をさせていだきました。今後も、ペーシングボードを使って色々お話しをしていきたいと思います。
記事担当:OT 天田