先月、理学療法士6名「第28回 群馬県理学療法士学会」に参加してきました。
今年もコロナウイルス感染症対策のため、ZOOMでのリモート開催となりました。自宅でスーツを着てかしこまり、会場の雰囲気を味わうこともなく、なんとも違和感あふれる経験でした。
でも自宅でリラックスして発表できたので、メリットもあったかなと思います。
個人的には、学会参加は大学同期と会えるプチ同窓会も兼ねていることが楽しみの一つでもあるので、日常が戻る日が待ち遠しいです。
リモート開催ということで、後日発表メンバーで記念写真だけ撮りました。
※遠近法使ってません笑
坂本「当院回復期における脳卒中患者の入院時基本動作自立度と歩行アウトカムについて」
入院当初から座位などの基本動作が自立している脳卒中患者さんは、歩行を獲得できる可能性が高いという報告です。ここで注目すべきは、入院初期には重度麻痺があり思うように身体が動かない状態でも、急性期病院で歩行経験が無い重症な方でも、装具や杖の補助具を活用し、早期歩行練習により歩行獲得した方もいること。基本動作の獲得とともに、歩行の手段や可能性を探ることも大切にしています!
山﨑「回復期病棟において退院時FIM 運動項目をチームで下位項目まで予測することは予測精度に寄与できるか」
当院では、患者さんごとに退院時の到達目標をチームで検証しています。かつて作業療法士の役割でしたが、近年はチームで検討するよう定期的にカンファレンスが行われています。予後予測や目標設定は、個人プレーではなくチームで行うことでセラピストの経験値に左右されにくく、精度が高まることが示されました。今後も目標に向かってよりよいリハビリを提供できるよう頑張ります!
山口「ロボットスーツHAL により効率的運動学習から早期に歩行自立となった症例」
当院のロボットリハビリを代表するロボットスーツHALを使用した症例報告です。両足に強い麻痺がある状態では、通常の歩行練習だと、両手で必死に支えながら足をなんとか振り出すイメージ。ですがHALにより、下肢や体幹部の強化とともに、腕や肩の過剰努力を抑え、効率的な歩行を獲得されました。車椅子使用されていた方が、なんと、杖も使わず歩いて退院されました!快挙ですね!
小竹「安川電機製足首アシスト装置を使用した脳卒中片麻痺2症例に対しリハゲイトを用いて歩行に与える影響を分析した」
下肢の麻痺や感覚障害により、歩くとき足が上がりにくいと、躓かないために足をぶん回して歩いたり、大げさに持ち上げて歩く場合があります。見た目の問題だけでなく、歩行速度が低下したり、リズム感に欠けた歩行になります。足首アシストという装具をつけて歩行練習を行うことで、こういった歩き方の改善が見込めます。実際に、リズミカルな歩行を獲得され、歩行速度も見事に上がりました!
相場「多発外傷を受傷し、歩行時に左Toe off の消失が確認された例に対し、Ankle-Assist Device(AAD)を使用した介入によりToe off の改善が図れた一症例」
通常歩行では、後ろ足で蹴り出す力が前進する力となります。患者さんの中には、歩行中の足首の動きが悪くて前進する力が生まれず、転倒を避けるために歩行器を使用する方もいます。こちらの患者さんは、AADにより足首の動きが改善し、蹴り出し力が上がったことで、最終的に杖も使わず歩行できるように。オートマチックな動きを引き出してくれるAADと、使いこなすセラピストの今後の活躍に期待ですね!
さて、長くなりましたが、最後です。
「骨盤底筋」のこと、気になりませんか?
清水「人工股関節全置換術後の女性患者における尿失禁実態調査とQOL への影響」
みなさん「骨盤底筋群」をご存じですか?
「骨盤底筋群がゆるむ=尿もれ」のイメージが強いと思います。骨盤の一番下に位置する骨盤底筋は、排泄コントロールはもちろん、内臓を支えたり、強化すると腰痛予防やスタイルアップにもなる、縁の下の力持ち的存在です。
そして、実は、骨盤底筋群と股関節の筋肉には深い繋がりがあります。骨盤底筋のゆるみではなく、人工股関節の手術によって、尿もれが起こることがあります。なぜでしょう?
お尻の筋肉と骨盤底筋の筋肉たちは、握手をするように連動していてお互いに影響を受けあっているのです。そのため、手術中にお尻の筋肉が切開されて働きが弱ると、骨盤底筋も鈍くなってしまい、術後の尿もれが起きやすくなります。やはり術後尿もれがあると回答した方が多くいましたが、当院のリハビリを受け、嬉しい変化がみられました。
尿もれは、生活の充実度(QOL)を下げてしまいます。今回の調査でも、外出・家事・運動を控える要因となり、トイレが気がかりで精神的負担になっている方が多いことが分かりました。尿もれは加齢や出産が原因ともいわれますが、症状や原因によって、対策も変わります。身体の専門家である理学療法士にぜひご相談下さい。
当院は、年間を通して研究発表を行っています。学び、還元させていくことを大切に、田舎から情報発信を続けていきます。
今日もご覧いただきありがとうございます。
記事担当:PT清水