群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

人工股関節全置換術後のリハビリ

 変形性股関節症を手術をしないで行うリハビリについて、何度かこのブログでも紹介させていただきました。

 これについては、過去の記事をご参照ください。このブログ内でも検索ができますので、ご利用いただきたいと思います。

 しかし今日は、変形性股関節症の人工股関節全置換術後(以下THA)のリハビリについて、当院で実施できる歩行に対する介入の一例を紹介します。回復期リハ病棟を有する病院ですので、予防よりも術後の治療が専門です。


 さっそくですが、THA術後患者さんの歩き方の特徴についてです。

 術後の歩行では、
 股関節の屈曲、伸展の関節可動域が減少し、
 術側の足関節背屈可動域が増加するとされます。
 股関節の動きが小さくなることを代償するため、足部を強く蹴り出すことが多く見られますが、これにより腸腰筋(股関節屈曲筋)の活動が減少します。
 正常歩行では、下の絵のように股関節が伸展することで、腸腰筋の活動を活性化しますが、可動域が小さくなっている場合は、この作用も少なくなります。

イメージ 1

 絵にある赤い部分が腸腰筋を示していますが、大腿を前に振り出すためには必要な筋肉です。この筋肉を大きく活動させて、股関節の可動域を拡げることが大切です。

 しかし、変形性股関節症に長年悩まされてきた患者さんは、痛みがなくなったからとは言え、すぐに股関節を大きく動かすことはできません。

 これには、以下のロボットを用いて、股関節を大きく動かせるよう、誘導していきます。

イメージ 2

 過去に何度も紹介しているこの機器ですが、股関節の屈曲伸展をアシストし、歩行時の股関節可動域を拡げます。

 導入したての頃、THA術後の患者さんに18回、使用した例を示すと、(4週間)

 平均歩幅は5cm拡大。小さく感じるかもしれませんが8.3%増。

 右股関節の屈曲伸展合計可動域は33.6°から36.8°
 左股関節の屈曲伸展合計可動域は31.9°から37.6°

 左股関節術後の患者さんでしたが、右も左も歩行時の可動域が拡大しています。

 THAの患者さんは、術前歩行のクセが抜けず、股関節屈曲に骨盤の後傾を伴うことが多いです。

 これを徒手療法で改善するのはかなりの困難さを伴います。歩幅を拡げてくださいというと、歩行時の骨盤の動きが大きくなりすぎて歩き方が悪くなってしまう場合もあります。
 しかし、ロボットによって”脚をこう出してください”とアシストされると、筋肉の活動方法を少しずつ思い出すことができます。
 また、このロボットは少しのアシストをすることが特徴ですので、少しずつ歩き方を変えていくことができます。
 最近では九州の大学病院や、関西の総合病院など、術後すぐの急性期病院での活用も増えています。

記事担当:リハ部長さかもと