2015年に東京慈恵会医科大学附属病院人間ドックを受けた40歳代の男性2000人余りを対象に、既婚、単身赴任、独身(離婚も含む)者を質問票の回答と検査結果から比較しました。
その結果、メタボの人は独身が22.9%で、既婚の11.3%の約2倍でした。メタボの予備軍はそれぞれ16.8%と17.5%でほぼ変わりがありませんでした。単身赴任では、メタボは9.9%にとどまる一方、予備軍は22.1%ともっとも多いという結果になりました。
メタボの構成要因である腹囲、血圧、中性脂肪、血糖いずれも、独身のグループでは既婚のグループに比べ有意に高値でした。
1週間での夕食が外食の日数は、既婚者で2.2日(±1.6)、単身赴任者で3.4日(±2.0)、独身者で3.8日(±2.4)。
朝食を抜くことが週3回以上の割合は、既婚者で20.7%、単身赴任者で23.1%、独身者で36.8%。
1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上実施している割合は、既婚者で27.8%、単身赴任者で36.2%、独身者で24.5%。
20歳時のBMI(体格指数)と現在のBMIの比較でも、既婚者で+7.3kg、単身赴任者で+7.4kg、独身者で+9.2kgとなり、未婚・離婚群が有意に高値でした。
生活習慣改善の意向を尋ねたところ、「改善するつもりはない」と答えた人は、既婚者は14.5%、単身赴任者は9.9%、独身者は15.2%とのこと。
「特定保健指導を希望しない」と答えた割合は、既婚者は54.3%、単身赴任者は51.1%、独身者は55.2%でした。
日本人単独世帯男性では、内分泌代謝疾患で通院するリスクが高く、その原因として健康管理・生活管理の難しさがあるとのこと。日本人独身男性では循環器疾患・全死亡リスクが上昇するという報告もあります。
和田教授は「メタボリックシンドロームの発症要因の中で、比重の大きいのは生活習慣であり、男性の生活習慣においては、家族状況の影響も少なくない。しかし男性においては、婚姻状況がはるかに影響を及ぼしており、独身者では今後、メタボリックシンドロームを含め生活習慣病が悪化する可能性が懸念される」と指摘したそうです。
単身赴任者に比べ、独身者では自分の体に気を遣わない人が多く、医学的にも婚姻は大事なのかもしれません。