先月の話になりますが、7月7・8日に名古屋で行われましたコミュニケーション障害学会で当院ST2名が学会発表してきました。
演題は、『失語症を呈した症例の12年間の経過』と、『経口摂取が進まず、一時的に経鼻経管栄養中止にしたところ3食経口摂取可能となった1症例』です。
簡単に説明します。
『失語症・・・』では、発症から言語性検査の経過がどう変わったかをまとめた発表でした。
言語面の改善は発症から約5年で横ばいになっていたことが分かったのですが、その後、発症から10年を超えても脳機能面の検査(コース立方体組み合わせテスト:IQが出る検査です)では、改善している事が分かりました。つまり、言語面だけで無く、脳自体の改善は10年経ってもみられることがあるため、リハビリを継続する意味がある事が分かりました。外来リハビリ等が終了した方も、自宅での自主トレも同じ効果が考えられるので、時間をつくって脳トレなどをすることはおすすめです♪
『経口摂取が進まず・・・』では、飲み込みの機能は保たれているのですが、食欲がわかず、なかなか鼻のチューブが抜けなかった患者さんへの試みの発表でした。食べられないため、栄養が足りず、栄養が不足するため、経鼻栄養を行う事で満腹感につながり、食事をみても「食べたい」にはつながらない、というどのSTも経験があるだろう症例でした。Dr.やNs.と密に相談をしながら、全身状態の管理をし、経口以外は絶食という試みをしたところ、経鼻栄養を使わないことで食欲が増し、朝昼晩3食ともに食べられるようになったという報告です。
詳しくは、学会誌をごらん下さい。
発表の様子です。多くの人が興味を持ってくださり、質疑応答も盛り上がりました。
臨床家として日々働いているため、学会発表は普段の業務とは全然違います。慣れないため、ベテランスタッフも悩みながら発表原稿を作り上げていました。
同じ悩みを抱える言語聴覚士の参考になればと、今回の発表を行うことにしましたが、日常の業務での成果をまとめることは、患者さんをよりよくするための振り返りにつながるため、私達にとっても良い勉強になると感じました。
また来年、報告が出来る様に切磋琢磨していきます。