歩行リハビリテーションを業とする我々にとって知っておくべき成書が発行されました。
歩行再建―歩行の理解とトレーニング
【著者】大畑光司(京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻)
三輪書店、内容紹介から
歩行障害のある人を目前にしたとき、理学療法士として一番に目が向くのは機能障害だろう。この機能改善を目的に、多くは関節拘縮や筋力低下に対する関節可動域改善や筋トレを実施する。
これらのトレーニングの目的は、歩行の異常を生じさせる原因を改善することにあるが、これはあくまで二次的な機能障害であり、活動制限の主体である歩行そのものを対象としている介入ではない。
歩行運動を改善するためには、「どのように歩くべきか」という歩き方そのものを指導する再教育が重要になる。しかしそのためには、歩行とは「どのような運動であるか?」を熟知していなければ、効果的なトレーニングを提示することは困難である。
本書は、歩行運動の意味やトレーニング手段を力学的背景と制御の考えに基づき、多数のビジュアルを用いて詳細に解説し、さらに、歩行再建のための次世代技術として注目されているロボットを利用したトレーニングについても紹介している。
そして最終章にはHONDA歩行アシストによる歩行再建についても言及されており、我々のような臨床家に歩行リハビリテーションの技術体系を示していただいたことに深く感謝したいと思います。
2015/4/28の本ブログ記事では、歩行に関する勉強会を実施していますという紹介をさせていただいたが、この内容は過去数年間にわたって大畑先生よりレクチャーいただいた理論が基盤となっている。しかし断片的な講義を理路整然と当院で伝達講習できるほど我々の技量もなく、さらには力学やバイオメカニクスに弱い理学療法士が増えていることを悟ったのもこの頃からである。
幸い歩行アシストカスタマーセンターより、発行日前に本書をいただいた。今までも勉強会を開催してきたが、これを読み込むことにより、みんなで研鑽していきたいと考えています。
本書のあとがきにある“伊藤寿弘”さん。最近お会いしていないので、伊藤ロスを感じる“さかもと”が担当しました。