群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

脳卒中患者さんの歩行速度に認知・運動課題が及ぼす影響

 脳卒中患者が地域社会で必要とされる歩行能力は歩行速度に影響を受けるとされますが、歩行中の課題が歩行速度を低下させるという報告が多くあります。
 慢性期の脳卒中患者さんに、認知課題や、運動の課題を与えたときに歩行速度がどのように変化するのかみた報告があります。
30人の慢性期脳卒中患者さんに快適歩行速度と最大歩行速度であるいていただき、認知・運動課題を与えた時に速度変化がどのように生じるか調べたのがこの研究です(2017中国)。

 課題は二つ

 認知課題は70~99の数値をコンピュータで選び、そこから3を連続して引きながら歩いてもらう課題で

 運動課題はコップに水をいれ、それを運びながら歩いてもらう課題です。
コップは上端3cm手前のところまで水を入れています。

イメージ 1

 Confortableが快適歩行速度、
Maximumは最大歩行速度を表しています。

グラフの白い方が認知課題と歩行実施時きの、歩行速度の減少割合で、
グラフの灰色は運動課題と歩行実施時の、歩行速度の減少割合です。

両方の課題共に、何も行わないときの歩行速度と比べ、歩行速度は下がりますが、
運動課題と比べ、認知課題の方がより歩行速度の低下が大きいという結果でした。

また、歩く速さは快適歩行速度よりも最大歩行速度の方が影響を受けやすいようです。
さらに、認知課題は快適歩行速度のときよりも、最大歩行速度の方がより大きな影響を与えています。

慢性脳卒中患者さんは、歩行速度を維持することよりも、作業の正確さ及び完了を優先させる傾向にあるとこの論文ではまとめています。

このような課題をデュアルタスクといいますが、
ながら歩きができない人は、転倒を経験することも多いといわれています。

歩行訓練などの際に、話かけられると立ち止まって丁寧に対応してくださる患者さんもいらっしゃいますが、歩きながら会話ができることもリハビリの一つとお考えください。

歩行訓練中、”理学療法士が話しかけてくるのでうるさくて歩きにくい”と思っている方は、是非”うるさい”と指摘していただきたいと思います。
別の二重課題を用意したいと思いますが、会話しながら歩くことが認知症予防にもつながるといわれますので、ながら歩きは積極的に使っていきたいと思います。