変形性股関節症では、歩行時に痛みを避けるために、立脚後期(足を後に伸ばす時)の股関節伸展を少なくした歩き方になりやすいようです。
これは、股関節伸展時に関節に対する負荷が増加し痛みを引き起こしやすいためです。従って、変形性股関節症の患者さんは、歩行時の股関節伸展を抑えて歩くと痛みが楽になることがあります。
しかし、長い期間この歩き方を続けると、意識しなくても股関節伸展を少なく歩くことができるようになり、人工股関節置換術により痛みが楽になった後でもこのような歩きかたは残りやすくなります。
上の絵は参考:人工股関節
健常者に歩行時に足の裏での蹴り出しを意識させると腸腰筋の筋活動が低下すると報告されています。
(赤:腸腰筋、青:蹴り出しの筋肉)
股関節術後の歩行では、一般的に歩幅の減少を認め、接地時の衝撃も強くなる傾向にあります。そのため、術側の足関節背屈を早いタイミングで行うことで踵接地を代わりに形成し、衝撃を吸収するとも報告されています。
このような代償的な歩き方は、他の股関節、膝関節の関節症の誘発因子になるため、術後に歩き方を改善することは、他の関節が悪くなることを予防すると言われます。
長期に渡って痛みを避ける姿勢で歩いてきた場合、短期間で歩き方を変えていくのは大変ですが、一緒に歩みを変えていきましょう。
THAに介助は要りませんね・・・
(歩行アシストが有効という報告も増えています。股関節をアシストすることで、股関節の可動域を少しずつ広げていきます。)