従って、腸腰筋の筋活動は足関節底屈筋で代償することができ(図の筋の色と名称は同じです)、人工股関節術後、足関節底屈筋を働かせた下肢振り出しの歩行パターンが定着すると、腸腰筋の回復が遅延してしまうことが推測できます。
人工股関節術後6ヶ月が経過した女性を2グループに分け、
① 足関節底屈を意識させない“蹴り出さないグループ”
② 足関節底屈を勧める“蹴り出すグループ”
に分け、
① のグループは“歩くときに蹴り出さないように”
② のグループは“歩くときに強く蹴り出すように”
と指示して歩行練習を10~15分施行しました。
結果、
① 蹴り出さないグループでは、歩行練習後、股関節屈曲パワーが増大しました。
② 蹴り出すグループでは、歩行練習後、股関節屈曲パワー、歩行速度の減少が認められました。
効果の持続性については示されていませんが、
腸腰筋と足関節底屈筋の関係性を考え、無意識に足関節底屈筋をつかわないようにすることが大切です。
また、当院では、HONDA歩行アシストを利用して、腸腰筋が活動しやすい歩き方を提案することができます。ご利用ください。
引用文献 1)建内宏重:変形性股関節症患者における歩行制御、理学療法学42 巻8号2015
(Immediate effectsof different ankle pushoff instructions during walking exercise on hipkinematics and kinetics in individuals with total hip arthroplasty.)