群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

股関節全置換術後の腸腰筋と足底屈筋の関係

 人工股関節全置換術(THA)術後、回復しにくい筋肉は、腸腰筋と内転筋という報告があります。

 歩行時、腸腰筋は脚の振り出しに足関節底屈筋と共同して働き、腸腰筋と足関節底屈筋は二律背反の関係にあるといわれます。


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 健常者でも歩行時に足首から下での蹴り出しを意識すると腸腰筋の筋活動が低下します。

 つまり、腸腰筋の筋活動低下は足関節底屈筋で代償することができます。

 THA術後、足関節底屈筋を使った歩行の方法が定着することで、腸腰筋の回復が遅延すると推測されます。

 

これを以下の研究が証明しています。


 THA術後6ヶ月が経過した女性24名を対象に、2グループに分けました。

・歩行時に足関節底屈を抑えるグループ12名(グループA)と

・歩行時に足関節底屈を増強するグループ12名(グループB)

 

 両グループはそれぞれ以下の指示のもとに歩行練習を行いました。

・Aグループは「歩くときに蹴り出さないようにして下さい」

・Bグループは「歩くときに強く蹴り出すようにして下さい」

 歩行練習前、歩行練習後に、歩行速度、関節パワーを測定しました。

 

結果、

 Aグループでは、歩行練習後、股関節屈曲パワーが増大し、特に、歩行練習前に足関節底屈筋による蹴り出しを強く行っていた患者ほど、股関節屈曲パワーの増大が認められました。

 Bグループでは、歩行練習後、股関節屈曲角度、屈曲パワー、歩行速度の減少が認められました。

 

 これは、腸腰筋の筋活動を改善することに有用と考えます。また、足部の蹴り出しを意識した歩行が腸腰筋の筋活動を抑制するということにも注意する必要があります。


 実施してすぐの報告なので、持続性についてはわかりませんが、足底屈の意識的な練習は、効率的ではないといえるようです。


 腸腰筋と足関節底屈筋の関係を考え、患者さんには無意識に足関節底屈筋を過度に使わないような運動課題を提示することが必要なようです。

 

 Immediate effects of different anklepushoff instructions during walking exercise on hip kinematics and kinetics inindividuals with total hip arthroplasty. Gait Posture, 2011