群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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安全な筋力トレーニング

皆さんは筋力トレーニングと聞くとどのような運動を思い浮かべますか?

 

ダンベルを使って素早く腕を振ったり、腹筋運動で一生懸命上体を上下させたりするイメージでしょうか?

 

       

 

そのとおりであり、教科書的に言うと筋肥大を起こすためには「1回にあげることができる最大重量(1RM)の60~70%程度の重量で8~12回、3~5セット」が必要と言われています。資料により多少ばらつきはありますが、だいたいこのくらいがスタンダードとなっています。

 

ただ、こういった高負荷のトレーニングで無視できないのが血圧の上昇であり、このようなハードなトレーニングは一般的な高齢者にはリスクを伴うものです。

 

そこで今回は、スロートレーニング(略してスロトレ)をおすすめしたいと思います。

 

言葉の通りゆっくりと行う運動であり、例えばスクワットだと4秒かけてゆっくりと膝を曲げ、また4秒かけてゆっくり膝を伸ばすという感じです。これを止まらずになめらかな動作で行います。他にも足上げ運動や腹筋運動など色々な運動をゆっくりとなめらかにやってみると良いと思います。

どんな運動でもゆっくりと行うと結構疲れます。私自身、患者さんと一緒にやってみるとじわじわと筋肉に効いてくるのが感じられます。

 

スロトレの原理としては、ゆっくり筋肉を収縮させることで筋肉内の圧を高め、筋肉内を低酸素状態にし、筋肉が疲れやすい状態を作りながら筋トレをするというものです。

 

確かに高負荷トレーニングに比べると即効性に欠ける部分はあるかもしれませんが、長期的に見た場合、筋力の向上は研究的にも証明されていますし、なにより高齢者でも安全に実施できるというのが一番のメリットです。他にもゆっくり行うため、フォームを確認しながら行いやすかったり、関節に優しかったりと良いことが多いです。

 

私自身、院外活動として介護予防事業で高齢者の方々に運動指導する場面がありますが、筋トレを指導する時は①ゆっくり行うこと、②正しい姿勢(フォーム)で行うこと、③鍛えている筋肉を意識すること、この3つを意識してもらっています。

 

もちろんリスクの少ない元気な方はハードな筋トレをやってもらって構わないと思うのですが、介護予防の場では様々なリスクをもっている方々がいますので、ゆっくりと安全に負荷をかけてあげる方が良いのではないかと思います。

 

今回はスロトレを簡単に紹介させていただきましたが、一言で筋トレと言ってもやり方は色々あります。自分に合った方法が見つけられると良いですね。

 

記事担当:PT町田