働く高齢者が増えていますが、労災の発生頻度も年齢によってかなり違いがあります。以前と比べると、60歳以上の比較的年齢の高い層の労働災害が増えています。
しかし、これから先、高齢者を雇用せず、若い人だけで仕事を回していこうというのは、現実的ではありません。
従って、高齢者でも働ける環境を如何に作っていくのか、試行錯誤しながら取り組んで行くことが求められると思います。
ただし、そこにはこんな配慮を行った方が良いと考えます。
①まずは労働者の身体機能をチェックします。
我々には転倒予防プログラムであったり、フレイル予防プログラムなどの産業理学療法で用いるツールだったりを持っていますので、それを活用して転倒予防に取り組むことができます。
普段使っている介護予防よりも確実に高いレベルですが、プレフレイルとされた方では明らかに転倒・転落のリスクが高くなりますので、注意・指導が必要です。これにより、無理をしない心がけもできますし、怪我予防のためにはどうすれば良いのか考えてもらうことにも繋がるでしょう。
②次に労働環境をチェックします。
転倒・転落事故が起きにくいようにするためには、以下のような配慮を参考にすると良いでしょう。
階段、段差には手すりをつけます。手すりをガイドに段差を昇降することで、安全に体を移動する事ができ、また、段差でつまづくことも減るでしょう。
年齢とともに、暗いところはみえにくくなってきます。明るい環境で作業し、転倒リスクが挙がらないようにしたいですね。
これは海外では良く言われますが、日本ではまだ不十分です。様々なリフターがありますが、時間が掛かるので人力で行ってしまい、機械に頼らなくなってしまうことがあります。
風呂場などの水分がいつもある環境で介助等を行う場合は、滑り止めは必要です。水に乗るだけで環境が一変しますので、実際に動いてみて、どの位滑るのか事前の確認も必要でしょう。
さらに、こうしたすぐに清掃することも大事です。病院では患者さんもスタッフもともに滑ってしまうリスクがあります。
未然に防ぐ努力も怠らないようにしたいものです。
65歳を超えても働く人が増えてきました。この流れは今後も続きそうですが、今までと同じ労働環境では事故も増える可能性が高くなります。対策は個人でできるものもありますが、組織でするべきものや、理学療法士が介入すべきところもあると思いますので、是非上手な活用を心がけていただくと良いのではないでしょうか。
記事担当:部長さかもと