脳卒中患者さんに対する筋力トレーニングは、歩行能力、バランス能力、機能的能力および移動能力など、結果を改善します。快適歩行速度や最大歩行速度についても、改善がみられたという報告があります。
また、他にも、バランス機能と6分間歩行距離で、筋トレを行った群は有意にすぐれていたという報告もあります。
30年位前には、脳卒中患者さんに筋トレはしてはいけないという情報が、根拠もなく先輩から後輩に伝えられていました。
正確な原因はわかりませんが、健側に力を入れると連合反応で麻痺側に意図せず力が入り固くなってしまうのが原因だったのかもしれません。
健側に強い力を入れる練習を繰り返すと、筋の痙性が強くなり、動きにくくなってしまうと言われていました。
当時はセラピストの人数も少なく、個別リハ時間も十分とはいえなかったので、動かさずにいて多少拘縮がおきてくると、さらに麻痺側が固く、悪化したように感じました。
筋トレと痙縮の関係について、現時点では筋トレによって痙縮が悪化するというエビデンスはないと言われています。痙縮のある症例では筋力低下が生じているため、逆に筋力トレーニングをするべきとされています。
痙縮とは、脳卒中の後遺症で筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくかったり勝手に動いてしまったりする状態です。手指が握ったままとなり開きにくい、ひじが曲がる、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。
最後にチューブを使ったトレーニングを一つだけ示しますが、股関節外転筋トレーニングです。左右への安定性を高めるためにも大事な練習です。
記事担当:部長さかもと