東京都健康長寿医療センター研究所の研究報告です。
「コロナ禍による社会的孤立は改善傾向だが、孤独感は増悪:5万人への全国調査より判明」
「社会的孤立」を「家族や地域社会との交流が、客観的にみて著しく乏しい状態」という意味で用います。
単身世帯でも、家族や近隣・友人との交流がある状態は「社会的孤立」ではなく、一方、家族と同居していても、家族との日常的な交流がないうえに外部の近隣・友人とも接触が乏しければ、「社会的孤立」に陥る場合もあります。
社会的孤立の国際比較
まずは、社会的孤立の考え方ですが、
a.別居の家族や親戚 b.友人・知人 それぞれとの
- 対面交流
- メッセージのやりとり
- 音声での通話
- ビデオでの通話
これらの頻度を尋ね、合計が週1回未満を孤独と定義しています。
社会的孤立者の割合は、コロナ禍1年目(2020年)は27.4%、2年目(2021年)は22.7%でした。
孤独感測定については、心理尺度であるUCLA孤独感尺度を利用し、調査しました。
得点の範囲は3~12点であり、得点が高いほど孤独感が強いと言えます。
コロナ禍1年目(2020年)は5.03点、コロナ禍2年目(2021年)は5.86点でした。
得点から、孤独感は増加していることがわかりました。
いわゆるコロナ疲れが生じているということでしょう。
10代~20代の若い年代は、社会的孤立の割合は低いものの、孤独感は著しく高いものでした。顔の見えない繋がりは、「細く脆い」もので、オンラインの繋がりだけでは、「友人・上司・同僚に深い相談ができない」「表面的なやりとりしかできない」などの弊害が生まれ、結果として孤独感が高かったようですが、徐々に日常生活が戻ってきたことにより、1年目ほどの孤独感を感じる人は少なくなっているようです。
感染対策の緩和によって、社会的交流が図れるようになってきました。
久しぶりの人との交流は疲れますが、短時間から回数を増やしていくことで、以前のように戻れるかもしれません。
リハビリの対象となる方に限らず、社会的交流の頻度は、生活機能や精神機能を保つ為に非常に大切です。これが少ないがために体調を崩すか方も少なくありません。
友人・知人・家族・親戚など普段からの交流は続けていきたいものです。
記事担当:部長さかもと