群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

「やりたい」と「すべき」

 リハビリ中には、「あれ苦手なんだよね」とか「出来ないからやりたくない」といった言葉をよく耳にします。反対に「苦手だから出来るようになりたい」とか「あの練習がしたい」といった患者さんも多くいらっしゃいます。

 今回は前者の患者さんに対してどうしたら効率よく動作習得を目指せるかについて考えてみたいと思います。

 

 簡単に言ってしまうと、同じ練習をしていても心の状態が変わると練習の成果は大きく変わるということです。

 練習は楽しいメニューだけではなく、やりたくないこと・大変なこともあると思います。

 リハビリで例えると、足が思うように動かない患者様であれば立ち座りの練習や歩きの練習に苦手意識を感じ、手が思うように動かない方では物を掴む動作やお箸を持ったり字を書いたりすることに苦手意識を感じると思います。

誰でも苦手なことや嫌いなことは気分が乗らないし、やりたくないですよね。

 

 部活動で例えてみると、同じ距離を走らされているときも「辛い」「やらされている」「早く終わってほしい」と思ってやるのと、「走りたい」「これで体力がつく」 「体力がついたら楽に動けるから頑張ろう」と思って走るのとでは得られる効果や習得できる技術が変わってきます。走りたいと思って走る時、体の動きがしなやかになり必要とする体力もつくのです。

 

上記のことを「腕振りの実験」によって体験してみて下さい。

  • まず「腕を振りたくない」と思いながら両腕を振ってみてその時の腕の振り方を観察してみて下さい。
  • 次は「腕を振りたい」と思いながら同じように両腕を振ってみてその時の腕の振り方を観察してみてください。
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1回目と2回目の腕の振り方に違いを感じましたか。

2回目の方が、腕を軽くしなやかに振れたのではないでしょうか。

        

 このように自分が「やりたい」と思って行うと体の動きは軽やかでリズミカルになります。この時、人は技術を習得しやすい状態にあり、反対に「やりたくない」と思って行うと体は硬く、どんなに繰り返しても練習の成果が出にくい状態になります。

 

 目標が明確になれば、患者さんの気持ちの変化も得られ、効率良く動作習得が目指せそうです。患者さんが「やりたい」と思えるようなリハビリを提供したいと思います。

 

                             記事担当:PT田沼