群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

METs(メッツ)

 最近、リハビリ中に患者さんとトレッドミルをやっていると「メッツ(METs)って何?」と聞かれました。患者さんに分かりやすく伝えたかったのですが、知識不足の私は上手く答えられませんでした。

 

 なので、METsについて調べて、一般の方にも伝わりやすいようにまとめてみようと思いました。

 

 まず、METsとは「運動や身体活動の強度の単位」です。横になったり座って楽にしている安静時の状態を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。健康づくりのためには体力の向上が必要であり、体力の指標としては全身持久力が用いられます。全身持久力は最大酸素摂取量(ml/kg/分)で表すことができますが、運動強度との関係性をわかりやすくするために、「METs」で基準値が表されています。安静時酸素摂取量は3.5(ml/kg/分)であり、各身体活動や運動の最大酸素摂取量/3.5(ml/kg/分)がMETsです。

 

 各年齢層、性別での全身持久力の基準は、男性では、40歳未満で11.0メッツ、40~59歳で10.0メッツ、60代で9.0メッツ、女性では、40歳未満で9.5メッツ、40~59歳で8.5メッツ、60代で7.5メッツとし、それぞれの運動強度(METs)で3分以上運動を継続できた場合に基準を満たすとされています(表1)。

 

表1:性・年代別の全身持久力の基準

年齢

18~39歳

40~59歳

60~69歳

男性

11.0メッツ

10.0メッツ

9.0メッツ

女性

9.5メッツ

8.5メッツ

7.5メッツ

 

 では、METsをどのように活用したら良いのか、当院には高齢の方が多いので65歳以上の方について例を書きます。

 

・65歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準

 65歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準は、強度を問わず表2に示すような身体活動を週10METs・時行います。具体的には、横になったままや座ったままにならなければ、どんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行います。十分な体力を有する高齢者は、3メッツ以上の運動を含めた身体活動に取り組むことが望ましいです。

表2:3メッツ未満の身体活動の例

身体活動

メッツ

皿洗いをする

1.8

洗濯、立って食事の支度

2.0

こどもと軽く遊ぶ

2.2

時々立ち止まりながら買い物や散歩をする

2.0~3.0

ストレッチング、ガーデニングや水やり、動物の世話

2.3

座ってラジオ体操

2.8

ゆっくりと平地を歩く

2.8

     

 

 私たちは退院が近くなった患者さんには退院後も持久力、活動量を維持するために、自主練習の指導を実施しています。その自主練習内容もそうですが、家での生活を送る上でその方に適した運動強度の動作指導が出来るよう心がけたいと思います。

 

 興味のある方は国立健康・栄養研究所の栄養・代謝研究部のホームページに「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」として詳しく掲載されていますので、ご参照下さい。

                                   

                               記事担当:PT田沼