早飯も芸のうちという言葉は、何も芸のない者には、早く飯を食べることも芸の一つになるということを意味しています。
しかし、医学的には褒められることではないようです。
下に食べる速さと肥満度の関係を表します。
図 食べる速さとBMIの関係
愛知県内に住む35~69歳の成人(♂3,737人、♀1,005人)を対象とした調査
ちなみにBMIは22前後が標準です。
速食いの人は現在のBMIが高い傾向にあること(左)、さらには20歳時点からのBMI増加量も高いこと(右)がわかります。
速く食べることは、ゆっくり食べるよりも血液中のグルコース濃度の上昇が低く、食欲抑制ホルモンである消化管ホルモンの分泌が少なく、食欲促進ホルモンであるグレリンの分泌が減らないことから、満腹感が得られず食べすぎてしまうそうです。
つまり、早く食べることは、満腹感を生じさせるセンサーに感知されないまま食べすぎてしまうため、エネルギー摂取量が多くなり、体重が増加しやすくなります。
これに対し、ゆっくり食べることは、血液中のグルコース濃度をしっかり高め、消化管ホルモンの分泌を増やし、グレリンの分泌を抑えることで満腹感を得やすく、エネルギー摂取量を抑えやすくなるのです。
同じものを食べたとしてもこの違い、いかがでしょうか?
また、速食いかそうでないかで対象者を分け、さらにおなかいっぱいに食べるか否かでBMIの違いをみたものです。
図 大阪府と秋田県に住む成人3,287人に対して行われた疫学調査
速食いで満腹まで食べる習慣を持つ人が、肥満になりやすい傾向があるということがわかりますね。
食事は腹8分目、一口30回の咀嚼を心がけ、優雅に摂取したいものです。
記事担当:部長さかもと