転倒による怪我を防ぐには、転ばないこと。
何度聞いても禅問答のようにしか聞こえませんが、転倒を防ぐためには、転びにくい体をつくったり、転がっても怪我しないように衝撃吸収剤を使ったり、よく見えるように明るくしたり、移動する環境を整えたり、処方薬を整理したり・・・と、工夫する点は沢山あります。
こういうものを組み合わせて転倒を防ぎ、転倒による怪我を防ぐ事が必要です。
転んだところで怪我なんかしないよ、とおっしゃる方がいますが、転んだだけとはいえ、以下の疾患(怪我)で入院されてくる患者さんを私たちは経験しています。
1.大腿骨頸部骨折
2.脊椎圧迫骨折
3.頚髄損傷(中心性が多い)
4.硬膜下血腫
などの疾患があります。
骨折だけでなく、3や4のように脊髄や脳に怪我が及ぶこともあります。
私が経験した患者さんもさまざまな受傷機転がありますので、少し紹介すると、
まずは、70代男性。夜中に旅行先で布団につまづいて、大腿骨の骨折をされた方がいらっしゃいました。
この方は、冗談が好きで、「宇奈月温泉に泊まって、トロッコ列車乗ろうと思っていたら、救急車乗って帰って来ちゃった」といってよく笑わせてくださいました。
次に、50歳代の女性。自宅で夜中にトイレからベッドに帰る途中、平らな床で転がってそのまま動けず。翌日受診すると大腿骨頸部骨折が判明。50歳前後でも、フローリングで大腿骨頸部骨折が起こるというのは、かなり衝撃的でした。
最後に70代男性。転んだ際、頭をぶつけたところ、これが原因で、頚髄損傷となりました。両上肢や肩の動きが非常に悪く、歩行はできますが、歯磨きや食事、更衣などは苦労されていらっしゃいました。
最終的には皆さんADLが自立されて退院に至っていますが、3名とも屋内で受傷されています。すべての事例ではありませんが、ちょっとした注意をしたり、環境に気をつかったりすることで防げる事故もあります。そういう点で、配慮すべきところを知っておくことは、年齢にかかわらず必要なことだと思います。
当院を退院した患者さんには是非気を付けていただきたいところですし、それ以外の方も転倒で病院に罹らなくて済むようにしていただきたいと思います。
政府広報オンラインに良い記事がありましたので、下にリンクを貼りました。ご参照ください。
キレイな絵と共に事故の起きやすい箇所、注意点が紹介されていますので、ぜひご覧ください。
記事担当:部長さかもと