群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

「今年もあと1ヶ月・・・」

 山々の紅葉が落ち、外は急に寒さが増してきました。

 

 カレンダーをめくると、「あれ、もう最後の1枚?」ということで、あっという間に12月となりました。12月は「師走」という言葉がぴったりで、毎年この時期になると、毎日が駆け抜けるように過ぎていき、「光陰矢の如し」という言葉を思い出します。

 

 「1年早かったなー」という毎年ありきたりに思う感想と同時に、「今年は季節の移り変わりが分かりにくかったなー」と思ってしまいました。また会話の中で「今年はよく分からないうちに、季節が過ぎたね。」という話題も多かった気がします。今年、このように感じていらっしゃる方は多いのではないでしょうか…?

 

 昨年の今頃はクリスマス! お正月!と世の中が明るい話題で持ちきりでしたが、今年は「コロナ禍」の影響で、感染予防のために「3密回避」「5つの小」などについて気をつけなければならず、今までのようにみんなで賑やかに集まって楽しむことが難しくなってしまいました。そのためか、クリスマスやお正月の話題が出てもあまりピンときません…。

 

 今年の春、卒業式シーズン直前で全国の学校が一斉休校となり、卒業式はどうなる? 入学式はどうなる? と明るい話題が急に方向転換し、気付いたら「緊急事態宣言」。いきなり在宅勤務、オンライン会議・オンライン授業、外出自粛などの生活となり、今まで当たり前に出来ていた生活が一変、生活に必要な外出や人との交流ですら難しくなりました。そのためか、今年の私は春を感じることが出来ず、気付いたら夏になっていた感覚でした。また、昔から当たり前のように行われていた「行事」「イベント」がいきなり中止や延期の連続となり、更に人との交流が減少してしまいました。(東京オリンピックも延期に…)

 

 現在は方法を変える事で「行事」「イベント」が少しずつ開催できるようになりましたが、開催時期や方法が変わると不思議なもので、今まで見てきたものと同じように見られなくなりました。私は浅草の「三社祭」の御輿がトラックで運ばれるのを見て、違う祭りを見ているようで、なぜだか虚しさを感じました。

 

 振り返ると、人間って自然と毎年当たり前に行われていた「行事」などの社会参加で節目や季節を感じ、年齢・性別を問わず人との交流を増やしていたことを実感しました。

 確かに、認知症の患者さんに月日や季節を答えてもらうためのヒントに「行事」「イベント」を使う事は多いと思います。そこから患者さんと話が盛り上がり、記憶の想起に繋がる事が多くあります。しかし、それらを感じる機会の少ない生活になってしまうと、人間が受ける外的刺激もかなり減少するのではないでしょうか。

 

 「日本認知症予防学会」では、コロナ感染予防のためのデイサービスの一時停止、入院患者さんへの面会制限などで外出や会話の機会が失われた高齢者の認知機能や身体機能の低下が懸念されたため、その影響についてアンケートを実施し、集計結果を公表しました。この調査で、回答数414名中約200名が「認知機能が悪化」と答え、「BPSD(周辺症状)の悪化」「身体合併症の悪化」との解答もそれぞれ100名前後から寄せられたそうです。また、医療・介護面で「負担が増加している」という解答も300名近くあったそうです。このようなデータを見ても、今年1年の生活パターンが精神的・身体的に悪影響を及ぼしていたかが分かると思います。

 

 今年も残り1ヶ月。「クリスマス」「年末→お正月」と大きなイベントがあります。患者さん・病院スタッフとも当日だけでなく、わくわくしながらその日が迎えられるよう、何か楽しめることを考えてみようと思います。まずは、リハ室の奥に眠っているであろう「クリスマスツリー」を患者さんと一緒に飾って気分を盛り上げたいと思います。

 

f:id:sawatarispa:20201201093927p:plain

当院のツリーとイラストのアレンジ

              
                      記事担当:OT唐澤