「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」の声に驚いて振り向くと、惣菜コーナーで高齢の男性と、幼児連れの女性。男性はサッサと立ち去ったけど、女性は惣菜パックを手にして俯いたまま。
私は咄嗟に娘を連れて、女性の目の前でポテトサラダ買った。2パックも買った。大丈夫ですよと念じながら。
というTweetがトレンドになっている。
数十年前、“最近はカレーライスも作るのが面倒といってやらない家もあるらしいよ”、とは実母の弁であるが、その親にしてポテトサラダを作ってもらったのは、記憶にないくらいの回数だ。
たぶん、メインとはなり得ない料理であるし、時間が掛かる割に作ったところで感謝されにくい料理だろう。
だから当時からこの料理はスーパーマーケットの総菜コーナーに並び、よく利用していたようだ。
もっとも、パート勤務を掛け持ちし、正社員よりも労働時間が長いという生活を送っていた最強の母親だが・・・。
高齢男性の想像力は乏しい。
その方の子供の頃は、家に電化製品が揃い、三種の神器といえば、3C(カラーテレビ、クーラー、自家用車)を表していた頃と推察される。
当時は共働き率も低く、奥様という名前の通り、家庭に入る女性の率もかなり高かったようだ。
従って、女性は主婦が多く、この高齢男性の母親もポテトサラダをよく作ってもらっていたのだろう。
だから、ポテトサラダは母親の味なのかもしれない。
この文章を作っていて、作業療法室長にポテトサラダについて質問してみた。
やはり母の味だそうだ。
また、居酒屋のメニューでもポテトサラダは人気があるとのこと。
人によるが、ポテトサラダはおふくろの味として認識している男性もいるようだ。
現在、ポテトサラダくらいと言い放った高齢男性に批判的なTweetが大半を占めている。
この男性を擁護するわけではないが、お袋の味に触れさせてやってくれよという意味を含んでいたのかもしれない。
しかし女性を貶めてまで吐いて良い言葉ではないが・・・。
最近では女性の社会進出も進み?共働き率も格段に上昇した。
女性に時間がないのも事実である。日本人は家事・育児分担率が欧米に比べて低い。
これから男性の家事分担率は高まり、いつしかポテトサラダは父の味に変貌をとげる日が来るのかもしれない。
それまでは男性も女性も自宅復帰する患者さんに、リハビリで調理を新たな武器にできるよう提供していきたいと思う。
記事:さかもと