群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

こどもの構音(発音)発達

こどもが意味のある言葉を話すようになるのはおおよそ1歳前後と言われています。3歳頃には長い文を使って会話をするようになります(個人差あり)。

 

「構音」とは、ことばの音を作る過程のことです。

構音の発達には、ある程度の順序性があります。

【構音の完成年齢の目安】

年齢

完成する構音

2歳

パ行 バ行 マ行 ヤユヨワン 母音

3歳

タ行 ダ行 ナ行 ガ行 チャチュチョ

4歳

カ行 ハ行

5歳

サ行 ザ行 ラ行

 

【構音の発達に良いこと】          f:id:sawatarispa:20211229114257p:plain

                            

  • たくさん体を動かす
  • 食べ物はしっかり噛んで食べる          
  • 吹く遊びをして、口から息を出すことを覚える

唇や舌を動かした遊びをする  

→シャボン玉、ストロー吹き、風船、口ジャンケン 等

  • ペロペロなめることで、舌先を動かす
  • うがいをする

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おうちでも出来ると思うのでやってみて下さい♪

 

                        記事担当:ST横山

脳卒中発症率

 これは、以前にもご紹介したかもしれませんが、脳血管疾患の死亡率の県別、5年ごとの推移です。

 

 上のグラフが男性、下が女性ですが、

 

 平成7年からのこの20年間で、脳卒中の死亡率は半数以下に減少しています。

 

 平成7年のグラフが一番上の薄い線ですが、これに比べると大きく減少していることがわかります。

 

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 県毎にも死亡率に違いはありますが、男女ともに20年間で死亡率は大きく減少しています。

 

 ここまでは、亡くなる割合のお話でしたが、では脳卒中発症者割合はどう変化しているのでしょうか。厚労省のデータを引用します。

 

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 死亡率と同じく、年々減少しています。これは良いことで、病気には罹らない事が一番だと思います。

 

 しかし、上の死亡率グラフと、下の発症率グラフを見て、ちょっとした違和感を感じます。

 死亡率は20年間で1/2~1/3にまで減少していますが、発症率は2/3くらいまでしか減っていません。

 この差が脳卒中のリハビリ対象者が増えているということになります。

 

 日本の脳卒中発症者は、滋賀医科大学の推計で29万人といわれています。

 

 また、回復期リハ病棟に入院された患者さんも年間推計30万人前後といわれ、脳卒中罹患者の約半数の15万人が回復期リハビリを受けられています。

 

 回復期リハを受けられる方は、そのほとんどがADL(日常生活活動)に障害を受け、その改善を目的に入院されてきます。



 従って、ADLが全部できていて手足の動きにくさを感じている方や、ゆっくりしか歩けなくなったけど一人で歩行できる方などは、ほとんどが急性期病院からそのまま自宅に退院されています。自宅退院してしまうと、リハビリの機会も少なく動きにくさを抱えながら生活することにもなりかねません。

 また、麻痺が重度な方も同様です。リハビリの効果が低いと連携病院に忖度して、リハビリはあまり行わないが、長期入院できる病院を紹介される事が多くなります。

 重症度に関わりなく、まずは回復期でリハビリを行い、暫くやったけど思うように効果が出ないというのであれば、その後、長期入院できる病院を紹介いただく、思うように効果が出れば、自宅復帰するという順序ではいかがでしょうか。

 

 日本の医療制度上、回復期から療養病棟へ入院はできますが、療養病棟から回復期への入院は、かなり多くの条件を満たさないとできません。制度なので仕方がありませんが、時々このようなご紹介をいただく事がありますが、入院できなくて残念に思うことがあります。

 

 多くの医療機関はこういう事に対応するため、相談室や地域連携室という部門で相談業務にあたっていますので、ご利用いただきたいと思います(相談したからといって、料金が発生することはないはずです)。

 

 

 今年も一年、大変お世話になりました。来年は過去の記事を少しづつ整理していきます。

 良いお年をお迎えください。

 

                    記事担当:部長さかもと

 

 

骨について

 皆さんは、身体にいくつの骨があると思いますか?

 

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 正解は「206個」です!成人の身体には、6種類の様々な形の骨、計206個もあり、体重の15~18%を占めると言われています。

 

 これらの骨には5つの役割があります。

 

①身体を支持する

②臓器を保護する

③付着した筋の運動の起点となる

④血液を作る

⑤カルシウムなどの貯蔵

 

 以上の5つ。

 

 大切な役割をもつ骨ですが、「骨粗鬆症」によって骨の強度が低下して、骨がもろくなり、骨折しやすい状態になることがあります。骨粗鬆症の多くの方は、加齢や閉経に伴い罹患します。

 

 骨粗鬆症の予防としては、栄養のある食事と適度な運動が大切になります。

 また、骨粗鬆症の方は、リハビリの視点からは、転倒を防ぐことが大切です。

 

 今後、ますます寒くなり、凍結した中で雪かきをする方や、炬燵からでられずに運動不足になる方、お正月で食べ過ぎてしまう方、色々な方がいると思います。

 

 どの方も、骨粗鬆症の予防のために、バランスの取れた食事と適度な運動、転ばないための予防を心掛けてみて下さい。

 

 

                       記事担当:PT新井

サンタが今年はやってきた

 

~横Pの雨は夜更け過ぎに~

 

 

 雪へと変わりそうな寒さが身を刺す、師走も暮れの時期。皆様いかがお過ごしでしょうか??

 

 JR東海のCMはわりと世代の分かれ目なのではないかと思う今日この頃、怖くて後輩に確認出来ないPT横田です。

 

 さて、ブログを投稿する時期から遡ること数日前(予定)、世間一般ではクリスマスの時期がやって来ましたね。皆様の元には良いサンタはいらっしゃったでしょうか?

 

 なんと今回、中之条が沢渡に位置する我々群馬リハビリテーション病院の元には24日のクリスマスイブ、何人かのサンタがいらっしゃいました!

 

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 院長と満面の笑みを浮かべる下山サンタとおもった以上にしっくりくる小塚サンタ。プライバシーの関係上、ここには載せられませんが、患者さん達の間をこの服装でまわり、楽しい時間をプレゼントしていただきました!

 

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 夜のプレゼント配達ルートの検討…ではなく、朝の症例検討中の様子。服装はとぼけていても表情は真剣です。良い子へのプレゼントも患者さんへのリハビリも手違いがあったらいけませんからね。

 

 今回はまだまだコロナウィルスの危険性もあるため、接触等感染リスクがない環境下でのレクリエーションといった催しになりました。このような形でも季節の出来事を祝いながら過ごしていくことも大事なのかもしれませんね。

 

 トナカイがいなかったのはサンタもこれから正月に入るため、正月太りしないように運動しろよというリハビリ病院らしい心配りなのかなと思いつつ、きっと寝正月を過ごしそうな自分はここらで筆を置かせていただければと思います。

 

 

 それでは皆様良いお年を!

 

 

記事担当:枕元に靴下吊して寝たけれど、埃しかはいっていなかったPT横田

転倒場所

 退院後3ヶ月のアンケート分析結果です。

 

 まずは、転倒経験者の割合です。

 

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 退院3ヶ月で、3割弱の方が転倒を経験しています。

 

 この比率は以前と変わりはありませんので、コロナ禍でも転倒する割合には今のところ変化がなさそうです。

 

 しかし、内容には変化がありました。

 

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 転倒した場所もあわせてお聞きしているのですが、居間が伸びています。半分を超えてしまいました。

 

 そこで本当に多くなったのか、4年前の調査と比較したのが下のグラフです。

 

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 いかがでしょう。

 

 居間が百分率で2倍に伸びています。明らかに有意な差です。

 

 でも、転倒の割合は変わっていないという結果でした。

 

 理由を一晩寝ながら考えてみました。

 

 そこで私なりに一つの結論に達しました。ただ、本当に合っているのかは自信がありませんので、参考程度に聞いていただければと思います。

 

 原因を明確にできれば苦労はありませんが、まずこれを見て思ったことは、これがコロナ禍かということです。

 

 外出が制限され、人との交流も制限を受ける。結果、人は家の居間で長時間過ごすようになる。

 

 居間は大規模な改修や、福祉用具を導入することが少なく、身体機能の比較的高い方は、こたつからの立ち上がりがあり、意外に高い身体機能が要求されます。

 

 そして、人がいる時間が長いので、モノが散らかりやすい。こういったことも転倒に繋がる可能性を上げていきます。

 

 これが私の推論ですが、皆さんはどう考えるでしょうか?

 

 病院を退院した方は3割弱が転んでいる。けがをしないためにも転ばない方が良い。

 

 これを考えて、転倒しにくい環境に配慮をお願いします。

 

                  記事担当:部長さかもと

「調理練習 ~包丁が使えた~」

 先日、リハビリにて患者さんの調理練習を行いました。

 メニューはカレーに決め、野菜(にんじん・タマネギ・ジャガイモ)を使用し、包丁操作の評価を含め実施しました。

 患者さんは肘関節の可動域に制限があり、包丁が使えるか心配していました。

 

 いざ包丁を握ると力は入りにくいと訴えはありましたが、しっかりと野菜を切る・ジャガイモの皮を包丁で剥く動作が行え、「前より時間かかるけど包丁使えたぁ~」と笑顔になり喜んでくださいました。

 

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 調理練習で使用する野菜はニンジン・タマネギ・ジャガイモと1つずつ使用予定でしたが、患者さんから「家では娘はジャガイモが好きだからたくさん入れているんです」と発言があり、練習のためにジャガイモを1つから2つに変更し実施しました。ただでさえ、包丁での皮むきは大変な中、1つ増やし練習したいという姿に復帰に向けての熱意を感じました。最後には「自宅ではルーの他にソースとコンソメも入れるんです」と隠し味も教えてくださいました。

 

                   記事担当:OT町田陽太

 

至福の時間

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 言語聴覚士(以下ST)では、

患者さんにとって 至福の時間 を提供出来る練習が有ります。

 

 それは、例えば 好きなお菓子 を食べて頂く練習です。
 飲み込みの低下に伴う嚥下障害をお持ちの患者さんに対し、
練習の一つとして、患者さんが希望されるお菓子等をお楽しみ頂くものです。

その際は、STが患者さんの嚥下機能を評価した上で、

 希望される食品が食べられるものかどうかを確認し、主治医の許可および指示の下、
ご家族にお願いし、食品をご用意頂いています。

 特に療養病棟における、維持期(生活期)リハビリテーションでは、
生活の質(Quality Of  Life = QOL)の向上が大切になります。

 患者さん お独りでは誤嚥(飲み誤り)が心配な食べ物であっても。

STが 安全な形態、大きさ、食べ方について検討し、安全に食べて頂ける方法を提供させて頂く。

 患者さんの食べたい気持ち、に応えるお手伝いをする。

 患者さんの笑顔をいつも以上に沢山見ることが出来る、素敵な時間です。

 (※嚥下機能、疾患、既往歴によっては実施困難な場合も有ります)



                       記事担当:ST吉田

 

Happy Christmas

 こんにちは。作業療法士の町田です。

 最近は空気もグッと冷え込んで師走感がだんだん出てきていますね。

 師走といえばビッグイベント「クリスマス」がありますね。

 

 当院の作業療法士は「季節感」を大事にする人が多いように感じます。

 入院していると、テレビや新聞等を見るのが難しくなったり、外に出られないような日が多いと季節感を感じにくくなったりする環境におかれる患者さんが多いでしょう。

 そこで、少しでもクリスマスを感じて頂ける様、リハビリの時に患者さんと療法士で協力し可愛い手作りツリーを作成しています。

 

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 折り紙や画用紙、シールにモール、綿やペーパークラフトにリボン。様々な要素が組み合わさり一つの作品になっています。患者さんにも色々な病気や怪我の方がいますが、症状に合わせて出来る事を一緒に考え、他の患者さんも加わり、みんなで楽しみながら仕上げていくことはとても素敵なことだと思います。

 

 これからも「季節感」を大事にしながら、一人一人が楽しくリハビリができるよう心掛けていきたいと考えています。

 

 皆様もよいクリスマスを!!

 

                  記事担当:OT町田

プロテインって

 プロテインと聞くと、ボディービルダーやごく一部の人が摂取している物と想像されるかもしれません。

 

 プロテインは日本語では「タンパク質」と訳されます。語源はギリシャ語の「プロティオス」からきていると言われ、「プロティオス」は日本語で「1番大切なもの」という意味です。

 

 タンパク質は人間に必要な三大栄養素の1つで、生きていく上で欠かせないエネルギー源となっています。タンパク質は私たちの臓器をはじめ、骨や筋肉、皮膚や毛髪、爪や歯などの生成に使われています。

 

 必要量については、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」で基準が出されています。成人だと健康的な生活を送る上で最低限必要な量は、体重1kgあたり1gとされています。運動をあまりしない、運動強度は低い方は基本的にはこの量で問題ないそうです。しかし筋肉をつけたい人や、アスリートの人は基本的には1kgあたり2g必要と言われています。

 

 「1番大切なもの・私達の体を生成しているもの」と考えると、ごく一部の人だけが摂取するものではないと分かると思います。

 

 シェイカーを使っての摂取に抵抗ある方は、プロテイン入りのシリアルバーやヨーグルトも発売されているので、そちらから始めてみてもいいかもしれません。また夜の飲酒をプロテインに置き換えることで、健康面・コスト面を考えるとメリットが多いと思います。

 

 この記事でプロテインに対するイメージが少しでも変わってもらえれば嬉しい限りです。

 

 私だけかもしれませんが、プロテインと言語聴覚療法(摂食・嚥下面)には通じる点があると思っています。

 それは、「だま」(粉が水分によく溶けないでできる、ぶつぶつのかたまり)が出来ないように作ることです。

 プロテインはシェイカーでよく振り、トロミ水はマドラー等でかき混ぜたりして作ります。

 「だま」があると口の中に残ったり、口の中で粉が拡散したりで美味しいとは言えません。

 誤嚥防止のためのとろみ剤(増粘剤)についても同じです。

 誤嚥を防ぐためには、「だま」にならないようとろみ剤を均一に混ぜておく必要があります。「だま」が残っていると、誤嚥しやすいといわれます。

 

 「だま」の有無で一喜一憂してしまうのは、一種の職業病かもしれませんね。

 

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                    記事担当:ST日野

転ばないように上手に生活を

 これは患者さんの退院時に良くお伝えする言葉ですが、退院3ヶ月のアンケートでも、3割弱の方々が転倒を経験しています。

 

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 これが発達期の子供であれば、転ぶ経験をたくさんして、痛い思いをしないためにはどうすればいいか考えてもらっても良いのかもしれません。

 

 しかし、高齢者の転倒は学習に繋がらないばかりか、比較的高い割合で骨折などの重篤な事故を引き起こします。

 

 従って、転ばないように配慮することが一番の策です。

 

 そこで、アンケートで解析してみます。

 

 過去2年分です。

 

 退院時に指導された自主トレーニングを現在も続けていますか?という設問がありますので、自主トレを続けていた方と、何らかの理由で辞めてしまった方とにわけ、退院3ヶ月以内の転倒割合を比較しました。

 

 結果は以下のグラフです。

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 自主トレを継続していた方々の転倒割合が低いように見えますが、実はこの二群間に有意な差はありません(p=0.184)。

 

 退院後3ヶ月弱でアンケートを送付していますので、この期間では自主トレの効果に転倒を予防する効果は認めませんでした。もちろん、もっと長期間であれば変わってくる事があると思います。

 

 次に、デイサービスや通院以外の外出頻度と転倒の割合を調査しました。

 

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 外出の後ろに続いている数字は、月の外出回数です。月1回程度、月2~3回程度、月4回以上で分類しました。

 

 この3群間では、外出1と外出2~3の間に有意な差を認めました(p=0.0031)。

 

 論文などでは週一回ないし月四回以上の外出が閉じこもりを防ぐとされています。

 

 短期の転倒予防では月2回以上の外出が必要ですが、長期的に考えれば週一回程度の外出頻度は最低必要だと思います。

 

 ちょっと難しいお話だったかもしれませんが、自主トレは短期では転倒予防効果が高いとは言えず、外出頻度は月二回以上で、転倒リスクを下げる可能性があるということです。

 

 デイサービスや通院以外の外出頻度を保ち、自主トレを継続すれば、さらに効果が上がるのではないでしょうか。

 

 また、何か探して報告させていただきます。

 お読みいただきありがとうございました。

 

                    記事担当:部長さかもと