これは、以前にもご紹介したかもしれませんが、脳血管疾患の死亡率の県別、5年ごとの推移です。
上のグラフが男性、下が女性ですが、
平成7年からのこの20年間で、脳卒中の死亡率は半数以下に減少しています。
平成7年のグラフが一番上の薄い線ですが、これに比べると大きく減少していることがわかります。
県毎にも死亡率に違いはありますが、男女ともに20年間で死亡率は大きく減少しています。
ここまでは、亡くなる割合のお話でしたが、では脳卒中発症者割合はどう変化しているのでしょうか。厚労省のデータを引用します。
死亡率と同じく、年々減少しています。これは良いことで、病気には罹らない事が一番だと思います。
しかし、上の死亡率グラフと、下の発症率グラフを見て、ちょっとした違和感を感じます。
死亡率は20年間で1/2~1/3にまで減少していますが、発症率は2/3くらいまでしか減っていません。
この差が脳卒中のリハビリ対象者が増えているということになります。
日本の脳卒中発症者は、滋賀医科大学の推計で29万人といわれています。
また、回復期リハ病棟に入院された患者さんも年間推計30万人前後といわれ、脳卒中罹患者の約半数の15万人が回復期リハビリを受けられています。
回復期リハを受けられる方は、そのほとんどがADL(日常生活活動)に障害を受け、その改善を目的に入院されてきます。
従って、ADLが全部できていて手足の動きにくさを感じている方や、ゆっくりしか歩けなくなったけど一人で歩行できる方などは、ほとんどが急性期病院からそのまま自宅に退院されています。自宅退院してしまうと、リハビリの機会も少なく動きにくさを抱えながら生活することにもなりかねません。
また、麻痺が重度な方も同様です。リハビリの効果が低いと連携病院に忖度して、リハビリはあまり行わないが、長期入院できる病院を紹介される事が多くなります。
重症度に関わりなく、まずは回復期でリハビリを行い、暫くやったけど思うように効果が出ないというのであれば、その後、長期入院できる病院を紹介いただく、思うように効果が出れば、自宅復帰するという順序ではいかがでしょうか。
日本の医療制度上、回復期から療養病棟へ入院はできますが、療養病棟から回復期への入院は、かなり多くの条件を満たさないとできません。制度なので仕方がありませんが、時々このようなご紹介をいただく事がありますが、入院できなくて残念に思うことがあります。
多くの医療機関はこういう事に対応するため、相談室や地域連携室という部門で相談業務にあたっていますので、ご利用いただきたいと思います(相談したからといって、料金が発生することはないはずです)。
今年も一年、大変お世話になりました。来年は過去の記事を少しづつ整理していきます。
良いお年をお迎えください。
記事担当:部長さかもと