群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

窒息しやすい食材

 脳血管疾患がある方や高齢者、小さなお子さんにとって飲み込みにくい食材があるのをご存じでしょうか?

 

 咀嚼する力の低下、口部・舌の運動機能低下、歯の欠損、飲み込む力の低下があると窒息リスクが高まります。また、子どもでは歯の発育、摂食機能の発達の程度、食べるときの行動や環境などが関連します。

 

 代表的な物として

 

①丸くてつるっとしているもの(ブドウ・ミニトマトさくらんぼ・ピーナッツ・うずらの卵・ ソーセージ・こんにゃく・白玉団子・あめ・ラムネ等)

 

② 粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの(餅・ご飯・パン等)です。

 

 

 表面がつるっとしているものは、十分に噛み切れないまま喉の奥に送り込まれてしまうと、気道にぴったりとはまり塞いでしまいます。少し手間だとは思いますが、ミニトマトの大きさでも1/4程度の大きさにカットすることで窒息リスクは軽減されます。

 

 また、ご飯やパンは一度にたくさん詰め込まないように一口量を調整することや、食べる前に水分摂取し、口腔内を潤してから食べる・水分との交互嚥下を行う等の工夫が必要です。

 

 

                         記事担当部署:ST室

 

 

春のうつ病

 4月になり、周りの花々が咲き、暖かくなってきました。新しい学校や職場で新生活を始めている方が多いかと思います。どことなく明るい雰囲気が流れる春ですが、実は、春はうつ病の発症が多くなります。

 春は、就職や進学、異動などでの環境の変化、1日の寒暖差の大きさなどがあり、ストレスを感じやすくなります。慣れない環境下で常に緊張状態になったり、寒暖差の大きさから自立神経が乱れたりすることが原因でうつ病を発症してしまいます。

 

 そこで、春にうつ病を発症させないための過ごし方をご紹介しようと思います。

 

★ストレス解消

気分転換できる趣味、適度な運動、リラックスしながらの入浴などを行い、


適宜ストレスを発散していきましょう。

 

 

★気候の変化

 春になり、日中は暖かくなってきましたが、朝晩は冷える日がまだまだあります。調節しやすい服装や、ストールやカーディガンなどを持ち歩き、身体が冷えることを防ぎましょう。

 

 

★栄養バランス

 栄養バランスの良い食事を毎日同じくらいの時間にとることを意識します。栄養バランスの良い食事と言われても難しいかと思いますが、豆腐や納豆などの豆製品、ごまやアーモンドなどのナッツ類、牛乳やチーズなどの乳製品、卵や魚などを積極的にとるようにしましょう。

 

 

★生活リズム

 早寝早起きを心掛け、朝日を浴びるようにしましょう。昼寝は15分程度に留め、夜ぐっすり寝られるようにします。就寝前は、照明を暗くし、スマホなどのブルーライトを見ないようにしたほうが、より良い睡眠をとることができます。

 

 なかなか慣れない環境で、大変な事も多いかと思います。精神的・身体的に不調にならないように気をつけていきましょう。頑張りすぎず、気楽に過ごしていきましょう!

 

記事担当:PT小向

 

心と体の触れ合いを大切に

 みなさんは「幸せホルモン」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?

 幸せホルモンとはドーパミンセロトニン、エンドルフィン、そしてオキシトシンの4つのホルモンのことを指します。

 

 今回はその中のオキシトシンについてご紹介したいと思います。

 

 オキシトシは私たちの健康を維持するための基盤を築き、自然治癒力を高めると言われております。

      

具体的な効果としてはストレス・不安の軽減、信頼感・免疫力向上、疼痛緩和などがあります。

 

 このオキシトシンの分泌方法は触れ合いだそうです。

 直接的に体に触れるスキンシップや目線を合わせた声かけや優しい励ましなど心の触れ合いも含みます。

 

 自分自身落ち込んだ時に友人に肩を叩かれて励まされた時や幼少時代に具合が悪い時、母に背中を摩ってもらった時はなんだか気持ちや体が楽になった記憶があります。

 

 また研究ではスキンシップをとろうとしている側の人にもオキシトシンが分泌されているらしいのです。お互いにWinWinなのですね。

 

 自分たちセラピストは患者さんとの関わりの中で触れる機会がたくさんあるので、意識して患者さんとの「触れ合い」を大切にしていきたいですね。

 患者さんの自然治癒力を高めながらリハビリをご提供させていただきたいと思います。

 

                                     OT室

超加工食品と肥満のリスク

 生のニンジン。最近はニンジンスティックなどもあって、食べられなくはないですが、太いのでので、食べにくく、食べるのには時間が掛かります。

 5分~10分くらいかかるでしょうか。

 

 でも、ゆでると柔らかくなって食べやすくなります。味をつけるとさらに食べやすくなります。1分くらいで食べられますね。

 

 同じく、生のリンゴ。ワイルドにかじりついて食べると、やはり5分くらいは掛かるでしょうか。

 リンゴはすり下ろしてジュースにすると、1分半くらいで飲み終わりますね。

 

 これ、早く食べるためにどうするのかを比較しているわけではありません。

 ここから言えることがあります。食物に加工を施すと、食べやすくなったり、美味しくなったりします。

 

 これは言い方を変えると、同じ量でも短時間で食べられてしまうということです。

 

 食品の加工技術が高度になることによって、人々のエネルギー摂取量を高め、栄養状態を良くすることで、寿命を伸ばしたり、人口を増やしたりすることに貢献してきました。

 

 しかし、美味しさや食べやすさを追求した現代の加工食品には、健康を損なう可能性が指摘されるようになりました。

 

 その代表が「超加工食品」といわれ、ポテトチップスなどのスナック、アイスクリームや砂糖入りの清涼飲料、チョコレート、フライドポテトやハンバーガーといったファーストフード、ホットドッグ、ナゲット、フィッシュアンドチップス、インスタント食品などがあります。

 

国別超加工食品摂取割合

 近年の研究報告では、これらの超加工食品が心臓病や糖尿病の発症因子であることがわかってきました。さらに、最近の研究では、超加工食品が肥満の要因であることもわかってきたのです。

 

 食品の加工技術は日本人の寿命を大きく伸ばす事に寄与してきました。

 

 しかし、これまで健康度や寿命の延伸に寄与してきた加工技術は、現代では健康に悪影響を与える食品も生み出すようになってきています。

 食品の加工程度を分類するNOVA分類を示します。

 

 超加工食はホルモン分泌に影響を及ぼすとも言われており、満腹になりにくく、エネルギー摂取量が多くなってしまいます。

 

 超加工食品は、嗜好性を高めるため糖質や脂質を増やし、エネルギー密度を上げ、食べやすく加工することで食べる速度を速くして摂取率を高めます。これによりエネルギー摂取量を多くして、人を太らせます。

 

 

 超加工食品は肥満のリスクを26%高くするというデータもあります。

 

 ダイエット方法は数多くありますが、痩せるために共通するのは、

「超加工食品を避けること」だそうです。

 

                           記事担当:部長さかもと

 

「音読が脳を活性化させる」

 言語聴覚療法では、「文字を声に出して読む」すなわち「音読」をリハビリで実施する機会が多いです。呂律不良の改善という目的はもちろんのこと、脳の活性化を目的として音読をして頂く事があります。

 

 なぜ、音読すると脳が活性化するのでしょうか。


 音読するというのは、細かく分けると、

文字を見る→言葉の意味や読み方を理解する

→文字を声に出す→自分で発した声を聞く

という行動の連続です。

 

 

 音読することは、この4つの行動を一度にこなすため、考え事や黙読をする時よりも、脳の多くの部分が働くそうです。

 

 さらに、音読する時に脳の中で最も働いているのが、前頭前野という部分だそうです。

 前頭前野は、物事を記憶する、考える、行動や感情をコントロールする、人とコミュニケーションをとる、という私たちが人間らしく生きるために大切な事を司っています。

 前頭前野が最も働く「音読」をすれば、認知症予防や改善、記憶力アップや仕事の能率アップにつながります。

 

 私がリハビリで音読教材として活用しているのが、昔話です。

 昔話は老若男女親しみがあり、簡単に読むことができる教材なため重宝しています。

 また、退院される方におすすめしているのが新聞記事の音読です。

 新聞でも雑誌でも、身近な教材を活用して音読を習慣化してはいかがでしょうか。

 

 

 

 記事担当:ST室

座りっぱなしのリスク

 長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響するのか。

 

 台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月に掲載されました。

 

 3段階の職業的座位量(ほとんど座っている、座っている・いないを交互に繰り返す、ほとんど座っていない)と、全死因死亡率および心血管疾患(CVD)死亡率を調査しました。

 

 世界一座りすぎの日本人が行うべき4つの対策 | Bauhütte®

 

 48万例あまりを対象として、平均年齢は39.3歳、女性53.2%。平均追跡期間は12.85年、追跡期間中に2万6,257例が死亡しました。

 

 性別、年齢、教育水準、喫煙歴、飲酒歴、肥満度の調整した結果、仕事中にほとんど座っている人はほとんど座っていない人に比べ、全死因死亡率が16%高く(HR:1.16、95%信頼区間[CI]:1.11~1.20)、CVD死亡率が34%高かった(HR:1.34、95%CI:1.22~1.46)。

 仕事中に座っている・いないを交互に繰り返している人は、ほとんど座っていない人と比べても、全死因死亡率は増加しなかった。

 

 ほとんど座っている人で、余暇時間における身体活動が少ない(1日15~29分)、またはまったくない(1日15分未満)人は、身体活動を各1日15分~30分増やすことで、ほとんど座っていない人と同程度まで死亡率が減少しています。

 

      


 論文ってなかなか難しいですが、仕事中に座りっぱなしの人は、ほとんど座っていない人に比べ、全死亡率が16%高く、心血管死亡率が34%高くなると考えられます。

 だから座りっぱなしは体に悪いというお話ですが、余暇時間に身体活動を1日30分に増やす事で、仕事中ほとんど座っている場合でも、死亡率の増加を防ぐことができたということです。

 ホワイトカラーといわれる、身体活動量の低い仕事であっても、休みの日の運動量を増やすことで死亡リスクを減らすことができるというのは、救われた気がします。

 

 余暇の運動を工夫してください。

 

Wayne Gao, Mattia Sanna et al .Occupational Sitting Time, Leisure Physical Activity, and All-Cause and Cardiovascular Disease Morta  JAMA network open. 2024

 

                           記事担当:部長さかもと

気温と健康

みなさんこんにちは!

今年度よりブログ班に入りました、PTの池田です。

 

1年間よろしくお願いいたします!

さて4月に入り桜の開花が聞かれるようになりましたが

例年に比べると全国的に開花が遅いそうですね。

 

ここ沢渡でも3月は何度か大雪が降っていたのに

急に暖かくなり桜も咲き始めました。

 

 

私自身、寒いのは苦手なので暖かい春が来たことは喜ばしいのですが、

気象庁が発表した1ヶ月予報によると5月中旬までの平均気温は

10年に1度レベルの高温となるそうです。

 

そこで危惧されているのが「熱中症」です。

 

熱中症というと夏の暑い日に起こるイメージですが、

体が暑さに慣れて強くなった状態である「暑熱順化」ができていないと

熱中症の危険性が高まります。

                              

人の体は動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。

それに対し発汗による気化熱や、心拍数の上昇、皮膚血管拡張によって体の表面から熱を逃がす熱放散で、体温を調節しています。

この体温の調節がうまくできなくなり、

体内に熱がたまって体温が上昇し、熱中症が引き起こされます。

 

暑熱順化ができていないと、

この体温調節機能がうまく働かない可能性があります。

 

 

対策としては本格的に気温が上がってくる前に

無理のない範囲で運動(ウォーキングや筋トレなど)や入浴で体温を上げて、

汗をかき、体を暑さに慣れさせておくことが大事だそうです。

 

 

病院に入院されている患者さんは

冷暖房の効いた室内にいる時間が長いため

暑熱順化が難しいと思われます。

 

いざ退院した後で暑さに慣れられず熱中症になってしまった

という事態を避けるためにも

リハビリで少しずつ汗をかいていただくのも

大切かと思います。

 

 

そういう面でも効果のあるリハビリを

行っていきたいところです。

 

                              記事担当:PT池田

 

高齢者が転倒することの危険性

 日本理学療法士協会が発行しているハンドブック。今日はそちらから引用した資料を使います。

 

 上の図のように、年齢を重ねると転ぶ割合も増えます。転ぶことが増える事で、打ち所が悪ければ骨折に至ることがあります。

 

 

 転んで怪我をすると言っても、その後の経過は若いときと同じではありません。上のグラフが示すように要介護の原因の13%を占めるのが、転倒・骨折です。

 転んだくらいで何を大げさなことをと思われるかもしれませんが、ちょっとしたことで、入院・手術に至ることもあります。

 

 転倒を防ぐ方法は様々なものがありますが、まずは少し慎重に行動することも大事かと思います。足下の状況をよくご確認ください。

 

 ちょっとした段差に躓いたり、見ていない方向に不用意に進んで躓いたり、水たまりで滑ったり、思ったところに段差が無かったり、あったりで、転倒に至ることは珍しくありません。

 

 注意して、よく見て行動することで転倒を防ぐことが出来ると思います。

 

                           記事担当:部長さかもと

要介護認定率

 先日、介護保険関係者と話しをしていて、疑問に思ったので聞いてみました。

 

 吾妻郡の介護保険認定率はどの位なんでしょうか?

 

 なかなか明確な答えが得られませんでしたので、調べました。

 

 要介護認定者数は令和6年1月のものが最新のようです。

 

 でも、吾妻郡の65歳以上の割合がなかなかわかりませんでした。

 

 行政区として活動することが少ないからでしょうか。

 

 でも、推定値などを利用して何とか計算してみました。

 

これはハフポストから引用しています

 

 吾妻郡の65歳以上の高齢者全体に対する要介護認定率 18.1%

 

 群馬県の65歳以上の高齢者全体に対する要介護認定率 18.16%

 

 ほとんど変わらないですね(^▽^)。

 

 群馬県の高齢化率が推定30.5%前後

 

 吾妻郡の高齢化率が推定40.0%としました。

 

 高齢化が進んでいる吾妻の方が要介護認定率が低いわけですが、これは当院が頑張って居るからと言いたいところですが、そうではなく、吾妻郡では介護保険を利用したサービスが限られていることが原因だと考えられます。

 

ちょっと前のデータです

 

 こういったデータはまた別の分析に活用したいと思います。

 

                            記事担当:部長さかもと

日本食

日本食らしい食事に変えると認知症リスクが低下 | 健康増進 病気予防 抗加齢(アンチエイジング) 長寿 統合医療 ダイエット 競技力 豊かさ 幸せ探求  - 楽天ブログ

 

 日本人は生活習慣と言う点で、睡眠、運動、食生活のスコアが低すぎるという現状があります。

 

 国立がん研究センターの報告です。

 

 日本食は体に良いと言われてきましたが、本当にそうなのでしょうかというお話しです。

 

 食事調査アンケートの結果から、「日本食パターン」は、先行研究で用いられていた8項目(ご飯、みそ汁、海草、漬物、緑黄色野菜、魚介類、緑茶、牛肉・豚肉)の摂取量を点数化する日本食インデックスを使っています。

 

 日本食パターンスコアは、男女別に、摂取量が中央値より多いと各1点、牛肉・豚肉では、摂取量が中央値より少ないと1点として、合計0~8点とします。日本食パターンのスコアを4つグループにして、約19年弱の追跡期間中に確認された死亡(全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡、心疾患死亡、脳血管疾患死亡)との関連を調べました。

 

 

 その結果、日本食パターンのスコアが低いグループに比べて高いグループでは、全死亡のリスクは14%、循環器疾患死亡のリスクは11%、心疾患死亡のリスクは11%低かったことがわかりました。

 

 

 今回の研究では、日本食パターンにより全死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡のリスクが低いことが示されました。理由として、日本食スコアが高いグループでは、海草や漬物、緑黄色野菜、魚介類、緑茶に含まれる健康に有益な栄養素(食物繊維や抗酸化物質、カロテノイドやエイコサペンタエン酸など)の摂取量が多かったと考えられます。また、各食品の死亡リスクの低下への影響は小さいと思いますが、食品一つだけではなく、日本食パターンとして評価することで、様々な栄養素の作用によって、死亡リスクが低下した可能性も考えられます。

 

 塩分が多いと言われる日本食ですが、カリウムの量も多いことから、ナトリウムが排出されやすいという話もあります。素晴らしいですね。

 

 この日本食スコアを参考に、海草や漬物、緑黄色野菜、魚介類、緑茶を少し多めに摂取することを心がけてはいかがでしょうか。

 

                            記事担当:部長さかもと